【U-20W杯│戦評】ハーフタイムの指揮官の激が若き侍たちを目覚めさせる
U-20W杯初戦に臨んだU-20日本代表とU-20エクアドル代表。(C)FIFA
劣勢をいかに覆したのか。キャプテン齊藤未月が振り返る激闘の90分間。
[ポーランドU-20W杯 GS 1節] 日本 1-1 エクアドル/2019年5月23日/ビドゴシチ
苦しいゲームだった。
U-20日本代表は個性豊かなU-20エクアドル代表の攻撃陣に押し込まれ、自分たちのペースを掴めない。22分のビックチャンスを斉藤光毅が決め切れず、前半終了間際に自陣右サイドのFKからオウンゴールで先制点を献上した。
後半に盛り返し、68分に山田康太の得点で試合を振り出しに戻したが、勝ち切るまでには至らない。結局、最低限の勝点1を得て初戦を終えた。
影山雅永監督率いるU-20代表はエクアドルにここまで苦戦を強いられた要因とは。
アルゼンチンや出場権を逃したブラジルを抑え、南米予選1位となった相手だ。善戦と捉えることもできるだろう。
だが、キャプテン・齊藤未月の見解は少々異なる。
「入りは悪くなかったと思う」と齊藤が話したように、確かに最初の15分は前から積極的なプレスから自分たちのリズムに引き込もうとする姿勢が垣間見得た。
それは相手の圧を想像以上に感じなかったからこそできた側面もあるが、戦前に抱いていたエクアドルの印象も大きく影響していたと説明する。
「相手が(前から)来ているなと感じなかったですし、(映像を見た)第一印象でもっとスーパーな選手がいるとみんな思っていた。なので、逆に少しやれると感じてしまった」
しかし、そのちょっとした気の緩みから対応が遅れる。すると、途端に個の力とフィジカルで勝る相手に後手を踏んだ。
「相手は何も来ていないぞ、なんでビビってボールを動かさないんだ。田川(享介)とか(斉藤)光毅の裏があるけど、地上でサッカーをするのが俺らじゃないのか」
そのように影山雅永監督からハーフタイムに檄が飛んだ。その一言が選手たちに気付きを与えた。
「後半に入る前、(影山監督から)みんなに言われた時に『どうなろうと、まずしっかり自分たちのサッカーをするんだ』と思えて、その気持ちで挑めたので良かった」
齊藤はそのように話し、指揮官の熱いメッセージに大きな意味があったことを強調した。
後半は長短を織り交ぜたパスで攻め込み、狙っていた”地上戦”で徐々に主導権を握ることができた。エクアドル戦の教訓を26日のメキシコ戦で生かせれば、大会初勝利が見えてくるだけでなく、決勝トーナメント進出にも大きく近づくはずだ。
取材・文:松尾祐希(フリーライター)