【U-20W杯】ベスト16の舞台で伊藤洋輝が誓うアイツのためにも
エクアドルとの初戦、入場時には肩を組んだ伊藤洋輝(右上)と田川亨介。(C)FIFA via Getty Images
「ここから厳しい戦いが始まる」。決勝トーナメント一回戦は韓国に決定。
[ポーランドU-20W杯 GS3節] 日本 0-0 イタリア/2019年5月30日(日本時間)/ビドゴシュチ
ポーランドU-20ワールドカップのグループステージ最終節、影山雅永監督率いるU-20日本代表はイタリア代表と0−0で引き分けた。3戦無敗。U-20日本代表は1勝2分の2位で決勝トーナメント進出を決めた。
影山ジャパンは前回のメキシコ戦から先発4人を変更。その11人の中で並々ならぬ意気込みでピッチに立ったのが、2試合ぶりにスタメン復帰を果たした伊藤洋輝(名古屋グランパス)だ。
初戦のエクアドル戦では不完全燃焼と言えるパフォーマンスに終わった。攻撃ではパスミスを頻発させ、ビルドアップでも前へ繋げずに苦戦を強いられた。
一方の守備でも相手との良い間合いを掴み切れず、PKを若原智哉(京都サンガ)が止めたから良かったものの、きっかけのCKを自身のボールロストから与えてしまった。
これには本人も猛省。「自分が失ってからCKになった。救われたと思うので、これからの試合で借りを返せるようにしたい」と巻き返しを誓っていた。
以降の練習でも常に初戦の悔しさを持って励み、2戦目のメキシコ戦では、終盤に出場機会を得て、3−0の雪辱の舞台は最終戦以降に持ち越された。
迎えたイタリア戦では、4−4−2のボランチで先発復帰。質の高い武器である左足のキックで攻撃をリードし、前線にも顔を出して積極的にゴールを狙った。90分を通じて全てが良かったわけではないが、少なくとも挽回したいという想いが、ピッチから十分伝わってくるパフォーマンスだったのは確かだ。
本人も初戦からの変化を実感していた。
「低い位置からでしたけれど、ボールを動かすところは狙いを持ってやれたので、そこは良さを出せた」
ただ、現状に満足しているわけではない。何故ならば、明確な結果でチームに借りを返せていないからだ。
11分にはPKを獲得した田川亨介(FC東京)に掛け合い、キッカーに名乗りを挙げたものの、GKに止められてしまった。
「エクアドル戦はあまり良くなかったので、決めて吹っ切りたかった」と自らの想いは結実せず、名誉挽回の機会は決勝トーナメントに持ち越された。
中5日で迎える決勝トーナメント(ラウンドオブ16)。対戦相手は、韓国に決まった。U-19アジア選手権では戦う機会のなかった相手だ(日本はベスト4、韓国は準優勝)。
「またここから厳しい戦いが始まる」と伊藤の言葉。
次こそは借りを返す。負傷のためポーランドから帰国せざるを得なくなった、ずっと一緒に戦ってきた田川と斉藤光毅のためにも。男として、このまま終わるわけにはいかない。
取材・文:松尾祐希(フリーライター)