フェルナンド・トーレスが『魂の2得点』に込めた思いとは――
鳥栖のフェルナンド・トーレス。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
鳥栖が清水に4-2で勝利を収め最下位を脱出。
[J1 17節] 鳥栖 4-2 清水/2019年6月30日/駅前不動産スタジアム
サガン鳥栖のFWフェルナンド・トーレスが清水エスパルス戦、自身Jリーグ初の1試合2得点を豪快なヘディングで叩き込み、チームに4-2の勝利をもたらした。この勝点3でチームは最下位を脱出し、得失点差でも松本山雅FCを上回りJ1・J2入れ替え戦プレーオフ圏の16位に浮上した。
8月23日のヴィッセル神戸戦を最後に引退すると発表して最初に臨んだリーグ戦。ある意味、肩の力を抜いて、それでいて勝利に懸ける思いは変わらず、むしろさらに強く――そんな気迫のこもったプレーを見せるなかで2得点をもたらした。
1-1で迎えた16分、アン・ヨンウのクロスに相手DFとヘディングの競り合いで上回り、ゴールネットを揺らす。これでスタジアム全体が盛り上がると、続く20分、小林祐三のクロスに再びDFふたりに競り勝つジャンプヘッドで、豪快に2点目を記録した。
その後、点の取り合いになり、4-2で勝利を収めた。ライバルでもある清水との勝点差も3に縮めた。
フェルナンド・トーレスは試合後のヒーローインタビューで、次のように喜びを語った。
「本当にありがとうございます。皆さんのお陰で、勝利とゴールという結果を得られることができました。それに自分自身にとって残り少ない試合のなか、サッカーができる喜ぶを感じながら、こうしてゴールを決められて嬉しく思います」
5月4日の10節・大分トリニータ戦(●0-2)以来、実に7試合ぶりの先発起用に応えた。
「久々のスターティングメンバーでの出場で、チームを勝利に導くことができました。(引退試合の)8月23日まで今日のような結果を残せればと思います。それまでに少しでも多く勝点を積み重ねていきたいです」
そして今回の2ゴールについて、「まさにサガン鳥栖のスピリット。パッションと力強さを見せつけることができたと思います。こうしたゴールを決めていきたいです」と胸を張って強調した。
フェルナンド・トーレス自身も、このゴールで自信を掴んだ。スタンドを埋めたサポーターへ次のように呼びかけた。
「本当にいつも心強い応援を有難うございます。これからもさらに後押しをしていただければと思います。もっとゴールを決めて、喜びを分かち合いたいと思います」
ようやく決まった今季初ゴールと2点目(リーグ12試合2得点)。魂のゴールであり、「鳥栖の情熱と力強さ」をそこに込めたという。迎えた本格的な夏――この1勝で、トーレスとともに、鳥栖が勢いをつけてきそうだ。
文:サカノワ編集グループ