大迫のブレーメンに待つ「恐怖のシナリオ」。過去にない危機とドイツ紙が懸念
ブレーメンの大迫勇也。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
チームは低迷、そのうえリーグ最多6試合のホームゲームを残す。
ドイツで最多部数を誇るタブロイドの大衆紙『ビルド』は3月17日、日本代表FW大迫勇也を擁するブンデスリーガのヴェルダー・ブレーメンが新型ウイルスの感染拡大に伴うリーグ中断に伴い、「恐怖のシナリオに直面している」と報じた。
同日、ブンデスリーガが中断しているなか、ブンデスリーガのクリスティアン・ザイフェルトCEOが、各クラブに携わるあらゆる関係者の雇用を維持するためには、最悪の場合、無観客試合の開催も必要だと訴えた。ドイツでは当初数試合が無観客で行われた。しかし同国で無観客試合は「ゴーストゲーム」と言われるほどで、練習のような雰囲気の中での試合開催に、選手、監督、サポーターから瞬く間に不満の声が挙がった。
ブレーメンは現在4勝6分14敗の勝点18で、18チーム中17位と2部リーグへの自動降格圏にいる。ブレーメンのクラウス・フィルブリーCEOは「現在の状況では、どのクラブも経済的な大きな損失を被ってしまいます。まず最後まで試合を終えることが大切で、無観客試合も致し方ないのかもしれません」と語っているという。
『ビルド』によると、ブレーメンがホームのヴェーザー(4万2100人収容)で無観客試合を行った場合、約150万ユーロ(約1億8000万円)の損失が出るという。しかもブレーメンのみ、最も多い6試合を残している。放映権料だけでも900万ユーロ(約10億円)になるそうだ。しかもブレーメンは自己資本が550万ユーロ(6億5000万円)で「とても脆弱だ」という。つまり、クラブ運営にかかわってくる、過去にない危機に直面していると強調する。
そこでスポンサーから救済的な援助を得られるかどうかもポイントになってくる。ただし、ブレーメンのフランク・バウマンSD(スポーツダイレクター)は「そういったシチュエーションも念頭に入れなければいけません。ただスポンサーとはコンタクトを取っていますが、今は確かなことは何も言えません」と語る。
無観客試合に反対する声が上がるのは必然であるが、試合を行わなければクラブの損失だけが膨んでしまう現実。EURO2020の1年後の延期により、5、6月にも試合を組み込むことができるようになった。それまでに新型コロナウイルスの感染が収束に向かえば……大迫とブレーメンの奇跡の”逆転”も起こり得るか。
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[文:サカノワ編集グループ]