7月10日から観客動員開始、「ここからが船出」。Jリーグとプロ野球合同の新型コロナ対策連絡会議で詳細を議論
NPB・Jリーグ対策連絡会議の専門家チームを務める、(左から)三鴨廣繁氏(愛知医科大大学院)、賀来満夫氏(東北医科薬科大医学部)、舘田一博氏(東邦大医学部)。(3月12日撮影)(C)SAKANOWA
試合開催の可否判断は都道府県に。行政との連携も今後の重要なポイントに。
一般社団法人日本野球機構(NPB)と公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が合同で立ち上げた「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第10回会議がオンラインで6月22日に行われ、政府作成のガイドラインや見解をもとに7月10日以降、観客動員を開始することを基本線に、その後の課題などを協議した。会議のあと、NPBの斉藤惇コミッショナー、 Jリーグの村井満チェアマン、感染症対策の「専門家チーム」である賀来満夫氏(東北医科薬科大医学部)、舘田一博氏(東邦大医学部)、三鴨廣繁氏(愛知医科大大学院)がオンラインで記者会見を実施した。
プロ野球が6月19日に開幕を迎え、Jリーグは6月27日に再開する(J2が再開、J3が開幕、7月4日にJ1再開)。7月10日以降の観客を迎え入れての試合開催に向けて、賀来氏は「様々な議論を重ねてきましたが、ようやく今、船出をしたところ。これから観客の皆様のこと、選手の健康管理、まだまだ長丁場ですので、できる限り、より安全に二つのスポーツが行われていくようにご支援していきたいと思います」と語り、むしろ気を引き締めていた。
また、三鴨氏は行政との連携が、今後は最も重要であると強調した。
「我々の力の限界もひしひしと感じています。そういった意味で、行政との連携が極めて重要だと改めて痛感しています。また、今後は事前検査のあり方も問題になります。コストが非常にかかるもので、そのコストメリットがどれだけあるのか。何より、スタッフ・選手、観客、スポーツを守ることも重要になったうえでの議論が必要になります」と指摘。観客動員後の売店運営など細かい点の話し合いも大切になると語った。
試合中止になるかどうかの判断も、今後は都道府県の判断に委ねられていく。それだけに各クラブ(球団)が行政サイドと一段と連絡を密に取る必要性を説いていた。
一方、政府の感染症対策専門家会議のメンバーでもある舘田氏は観客動員について、規制が徐々に解除されるなかでの新型コロナウイルスの感染状況がまだ読めないだけに「あくまでも予定」と捉えるべきだと見解を示した。
「今でも東京では毎日30、40人の患者さんが出ています。その意味では、まだ予断を許さない状況が続いています。7月10日(の観客動員開始)は今の段階ですが、来週、再来週の感染者数などを踏まえて、例えば東京アラートなどが出るのかなど参考にしながら、専門家としては情報を分析・解析し、『今やるべきではない』というコンセンサスを得たならば、観客を迎え入れるのは控えたほうがいいのではないかという方向性も考えていかなければいけないと思っています」
観客をいかに迎え入れていくのか。どのように段階を踏んでいくのか。また、いかにして都道府県や市町村と連携して課題や問題を解決していくのか。そういったことが、「満員のスタジアム」へ向かうための次なるテーマだ。
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[取材・文:塚越 始]