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【女子W杯予選】田中美南が掴んだ”ファーストチャンス”の価値

ガーナ戦の13分、日本の田中が先制点を決める!写真:早草紀子/Noriko HAYAKUSA

 エース候補の一人。ガーナとの親善試合で先制点を決める。

 完璧なゴールだった。

 4月1日のガーナとの親善試合。13分、DFを限界まで引き付けた増矢理花(INAC)からペナルティエリア内にパスが放たれる。ひとつ前のチャンスでは同じく増矢のキックをオフサイドにしてしまっていた。

 今回は田中美南(日テレ・ベレーザ)が相手DFの動きを確認して、裏へ抜け出す。そしてしっかりと左足を振り抜いた――。

 2年連続でなでしこリーグの得点王を獲得し、高倉麻子監督の就任後、なでしこジャパンの一員に定着した。代表キャップも23を数える。それでも絶対的エースにはなれずにいる。

 エースといえば、チームを勝利に導く決定的なゴールを決められる存在。田中が掴んだ出場機会からは指揮官の期待が十分に伺えるが、それに応えるだけの活躍をできているか……それは田中自身が一番理解している。それだけに、今回の先制弾には大きな意義があった。

「自分の中では、ファーストチャンス。決められて良かったです」

 田中がなでしこジャパンで「ファーストチャンス」をモノにしたのは初めてだった。それほど、数多くのチャンスを生かし切れていなかった。

 大量7ゴール中の1点ではある。とはいえ、やはり突破口を切り開く先制点だっただけに、大きな価値はあった。その後の展開には「もっとボールを引き出せたはず」「もっと連係が必要」「3人目の動きを作る」など、田中は次々に課題を口にしていた。つまり自身に合格点を出したのはこの先制点だけだった。

 対峙するDFのフィジカル強度によってボールコントロールにムラがあったため、体幹から徹底して強化した。その成果が少しづつ出てきた。「使い続けることで化ける」という指揮官の期待に応えようと焦りばかり目立った1年半だった。ファーストチャンスを決めきったこのゴールを、長く苦しんできた時期を突き抜けるキッカケにできるか。FIFA女子ワールドカップ予選(女子アジアカップ)、さらに決められるはずだ。

取材・文:早草紀子
Noriko HAYAKUSA

Posted by 早草紀子

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