【川崎-C大阪】なぜ小林悠の「オフサイド誤審」でVARは発動しなかったのか? 主審が笛を吹いたのが…
川崎の小林悠。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
家長が折り返したタイミングで、主審が笛を吹いたため――。
[J1 5節] 川崎 0-0 C大阪/2023年3月18日3月18日16:03/等々力陸上競技場
J1リーグの川崎フロンターレ対セレッソ大阪戦、スコアレスで迎えた後半アディショナルタイム、宮代大聖がゴールを決めたものの、直前の小林悠のオフサイドの判定で取り消された。しかし、その小林に対する判定は「オンサイド」だったと分かったが、結局ゴールは認められなかった。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)がいながら、なぜ“誤審”は認められなかったのか。
90+2分、登里享平のスルーパスから、ケガから復帰した小林が左サイドを抜けてボールを受けてクロス。そこからホームチームが畳みかけて、最後は宮代がゴールをこじあける。しかし、そのラストパスとなるクロスを家長昭博が放ったところで、主審が笛を吹き、小林のオフサイドのファウルをとっていた。
しかしVTRで振り返ると、小林はオンサイドだった。主審はオフサイドディレイで、副審が旗を上げたあともプレーを続行させた。が、瀬川祐輔の折り返しがバーに当たって逆サイドへ。そこにいた家長が折り返したタイミングで、主審は笛を吹いた。
つまり宮代のゴールが決まる前の段階で主審が笛を吹いてしまったため、この時点でプレーは止まっている。そのためVARは介入できなかった。
日本サッカー協会(JFA)の『審判員のための実践的ガイドライン』の「オフサイド」の副審の欄には次のように記載されている。
副審は、オフサイドと判定したならば、先ず旗を上げる。(良い視野を確保するため、旗を右手で上げなければならない)主審がプレーを停止したら、旗を用い、反則のあった地域を示す。主審が旗をすぐに見なかった場合、副審は主審が気づくまで、または明らかに守備側チームがボールをコントロールするまでシグナルし続けなければならない。
また、「アドバンテージ」については、次のようにも記載されている。
主審は、反則が起きた時にアドバンテージを適用することができるが、アドバンテージを適用するのかプレーを停止するのかを判断するうえで、次の状況を考慮するべきである。
・反則の重大さ――反則が退場に値する場合、反則直後に得点の機会がない限り、主審はプレーを停止し、競技者を退場させなければならない。
・反則が行われた場所――相手競技者のゴールに近ければ近いほど、アドバンテージはより効果的になる。
・すばやく、また大きなチャンスとなる攻撃ができる機会にあるか。
・試合の状況(雰囲気)について。
カタール・ワールドカップ(W杯)では、Abemaの解説を務めた本田圭佑がオフサイドディレイの必要性について異議を唱えていた。むしろ、今回のようなケースでこそ、オフサイドディレイが効果を発揮する場面だったが……。試合はスコアレスで終わり、両チームともに1ポイントを分け合った。