森保監督の秘蔵っ子。五輪代表に大抜擢された岐阜MF長沼洋一の魅力とは?
森保監督率いるアジア大会に臨むU-21日本代表に抜擢されたFC岐阜の長沼洋一。写真:後藤勝/(C)Masaru GOTO
サイドのユーティリティとしてアジア大会へ。大木監督の下、ウイングにもチャレンジ。
[J2 27節] 岐阜 – 京都/2018年8月11日18:00/長良川
一時7位だったFC岐阜が、最近9試合でわずか1勝しか挙げられず苦しんでいる。J2・27節では栃木SCに1-4の大敗を喫し、大木武監督体制下で初の4連敗。順位こそ前節の16位と変わらないが、今後の結果によっては上位争いよりむしろ残留争いにも巻き込まれかねない状況だ。
その中で流れを変えようと2試合連続で投入されたのが長沼洋一だった。8月14日からインドネシアで開催されるアジア大会に挑む東京五輪日本代表(現・U-21日本代表)に選ばれた、サンフレッチェ広島から期限付き移籍中のプロ3年目の若手。右サイドバック(ウイングバック)が主戦場だ。
26節大分トリニータ戦の後半、岐阜は布陣を4-3-3から3-5-2に変更し、長沼は右ウイングバックに入った。総合力の高いサイドのユーティリティは大木監督の意図を汲んで、シュート、クロス、山岸祐也へのラストパスなど見せ場を作った。
さらに27節の栃木戦では、新たな役割を担う。56分から4-1-2-3の右ウイングで出場機会を得たのだ。 さらに新加入のミシャエルが65分から右に入ると、長沼は左ウイングにポジションを移す。すると中盤に下がった風間宏矢のパスを受けてゴールを狙うなど、攻撃にアクセントを加えた。
広島のユースから2016年にトップ昇格を果たし、昨季8月からモンテディオ山形、今季岐阜にレンタル移籍をしている。すなわち――16年から17年途中まで、広島時代の森保監督の下でプレ-している。岐阜ではこれまで12試合出場、そのうち開幕4試合など5試合先発とレギュラーに定着できずにいる。その中での今回のアジア大会招集。A代表と兼任する森保一監督の”期待”が伺える。
栃木戦後、長沼は「(ウイング起用に)どこででも自分の良さを出せるようにと、練習から取り組んでいます。いつもどおりにプレーしようと思いました」と振り返った。1-3の場面で投入され、「もうゴールに向かっていくプレーだけ。負けているので、(狙いは)それだけでした」と言うが、攻撃的な姿勢は実らず得点を奪えなかったことを相当に悔やんだ。
長沼は「個人としても、チームとしても、負けている状況では前に行かないといけない。チームとして何ができるかを、もっと考えなければいけない」と課題を挙げていた。一方、大木監督も「少し前に重心を掛けたかった。そこでボールを奪われたあとの守備への素早い切り替え、出していかなければならない」と語っていた。
8月11日のホーム長良川での28節・京都サンガ戦のあとアジア大会に向かう。その京都戦、ホームで連敗を止めて、勝点3を掴み、気持ち良く日の丸=日本代表への戦いに向かいたい。期待を力に変えて突き抜ける――そんな彼らしい豪傑なプレーが待望される。
取材・文:後藤勝
text by Masaru GOTO