【浦和】誕生日弾につなげた青木拓矢と武藤雄樹の固い絆
浦和レッズのMF青木拓矢。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
全体練習のあと、時間をかけて一緒に汗を流してきたパートナーであり友人。
[J1 26節] 横浜FM 1-2 浦和/2018年9月16日/日産スタジアム
9月16日に29歳の誕生日を迎えた浦和レッズのMF青木拓矢が、同日の横浜F・マリノス戦で武藤雄樹の決勝ゴールをアシストした。自身の誕生日をアシスト&勝利で飾れたとあって、「負けたら最悪でした。勝って良かったです」と胸を撫で下ろした。
1-1で迎えた79分、長澤和輝のパスをセンターサークル付近で受けると、すぐさまロングフィードを放つ。相手DFの背後を突いた武藤が胸トラップから左足でシュートをねじ込み、これが決勝点になった。
青木はアシストの場面を振り返る。
「武藤が動き出すのが見えました。その奥にヒラさん(平川)がいるのも。武藤くんと練習中から話していた形です。僕もそれまでずっとワイド(外)にパスを出していて、それがあって(中央を抜け出た)武藤くんに出せて良かった。(ボールに相手が)食いついてきたのが分かり、そこから武藤くんが背後を取ってくれたのが見えました」
試合前のミーティングで、オズワルド・オリヴェイラ監督から「タクヤ、誕生日おめでとう」と祝福された。青木も全員の前で「今日、勝ちましょう」と決意を示した。誕生日での得点やアシストは初めてだ。
加えてゴールを決めたのが、武藤だったことが嬉しかったという。
全体練習のあと、居残りで時間をかけて、時にいろいろな話をしながら一緒にジョギングをして汗を流してきた、大切なパートナーであり友人だ。
それぞれが「一人で走っていたら『今日はいいかな』と妥協しそうになりそうだけれど、二人だからこそ楽しく続けられている」と認める。本当に気が合うのだろう。
その二人の時間の積み重ねが今回一つのゴールとして結実した。得点のイメージは共有できていた。
「(武藤が決めたことが)嬉しいです。練習中からずっと言っていた形で決められて、『その通りになったね』と試合後にもすぐ話しました。いい動き出しはいつもしてくれている。武藤くんが動くことで、ワイドが空くこともあるので、今回は直接武藤くんへ出せました」
一方の武藤も「青木からボールが来る準備はできていました。アシストできて、いいプレゼントができたと思います」と笑った。
武藤としても「ファブリシオのケガは本当に残念なニュースで、僕もゴールで貢献していきたい」と思っていたなかで決めた久々のゴール。しかも本人が希求してきた試合を決定づけた。改めてFWとしての真価を示す、大きな1点となった。
もちろん青木は「上手くいった部分も、まだまだこれからかなというところも分かりました。そこは次の試合に向けて調整していきたい」と、反省も忘れていない。次節は9月23日、チケットはすでに完売しているホームでのヴィッセル神戸戦だ。
まさに”記念”の詰まった29歳の誕生日。青木は「あとはもう、帰宅するだけです。家族でゆっくりします」と語って、日産スタジアムをあとにした。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI