ポドルスキの左足が魔法を取り戻すには?元ケルン長澤和輝の言葉にヒントあり
神戸のポドルスキ。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
4月以来、約5か月ゴールなし。浦和戦ではゴール前まで下がり、シュート1本に終わる。
[J1 28節] 神戸 – 鹿島/2018年9月29日16:00/ノエビアスタジアム神戸
浦和レッズの長澤和輝は9月23日のヴィッセル神戸戦のあと、無得点に封じ込めたルーカス・ポドルスキへの対策について、次のように明かした。
「彼は本当にいい左足を持っている。フィジカルも高いレベルにある。しっかり左足をケアして(タイミングを)合わさせないこと、彼に決定的な仕事をさせないこと。そこはチームとして意識していました」
ポドルスキに気持ちよくプレーさせず、何よりその左足を振らせない――。浦和は全員で意思疎通を図り、実際、ポドルスキのクロス性のシュート1本のみに抑えた。彼がゴール前で左足を振る見せ場は訪れなかった。
「深い位置まで戻ってくれたら、それは自分たちのゴールから遠ざかることを意味する。決定的なプレーはしづらくなる。少しでも遠ざけさせようという狙いはありました」
浦和が中盤3枚を並べて中央のスペースを固めたこともあった。3-5-2のインサイドハーフで先発したポドルスキは、「少し」どころか、アンカーの藤田直之よりも低い位置まで下がり、最終ラインの前でボールをさばこうとした。ゴールから自らも意識的に遠ざかり、ビルドアップによって打開を試みようとしていた。
それは浦和としては、願ったり叶ったりの展開だった。
試合終盤に4-2-3-1のトップ下に入り、ややパフォーマンスは上がったが……時すでに遅し。バランスは崩れたまま失点を重ね、浦和守備網を打ち破ることはできなかった。
キャプテンに任命された今季のポドルスキは、これまでリーグ通算3ゴールを決めている。ケガによる負傷離脱の期間があったとはいえ、4月21日の9節・名古屋グランパス戦(〇3-0)での2得点以来、実に5か月もゴールから遠ざかっている。
長澤の言葉からも分かるように、相手チームが最も脅威を感じるのは、ポドルスキの左足であり、その射程圏内にゴールがある”距離”を保たれること。ペナルティエリアの少しぐらい外であっても警戒しなければならない。だから、むしろゴール付近、左足の射程圏内で常にポジションを取られているほうが、浦和としてはケアしにくかったと言えた。
長澤にとって、ポドルスキは憧れの存在でもある。いずれもブンデスリーガの1FCケルンでプレーし、ケルンの象徴だったポドルスキはバイエルンから復帰したあとに2011-12シーズンまで3年間在籍、長澤は1年おいて2013-14シーズンから15年末までプレーしていた(槙野は2010-12まで)。
ケルンでつながる二人。今なおワールドクラスである左足が魔法と取り戻すには? 26歳の”後輩”の言葉に、ポドルスキ復活のヒントがある。
神戸は29日、ホームで鹿島アントラーズと対戦する。フアン・マヌエル・リージョ監督に就労許可が下りるまでの間、林健太郎暫定監督の下で非公開練習が続ている。システムと元ドイツ代表10番の起用法に注目だ。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI