2011年にサッカーを始めてわずか7年。18歳の植木理子がなでしこJ初招集「一度呼ばれるだけでは…」
今年1月、なでしこジャパン候補合宿に初招集された植木理子。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
日テレ・ベレーザで昨季ブレイク。当面の目標は8月のU-20ワールドカップだが――。
日テレ・ベレーザで昨季18試合5ゴールを決めた18歳のFW植木理子が、なでしこジャパン(日本女子代表)の候補者トレーニングキャンプに初めて招集された。1月19日の最後の練習のあと、植木は「いい雰囲気のなか、いろんな選手が話しかけてくれて、サッカーの話はもちろん、チームのことなどいろんなことを聞けて楽しかったです」と初々しく振り返った。
植木が実質的にサッカーを始めたのは小学5年のときだった。あの、なでしこジャパンがFIFAワールドカップ・ドイツ大会を制した、2011年だった。
「それまで小学校の昼休みなどにはやっていましたが、ワールドカップが開かれる少し前にチームに入ったんです」
つい最近のように思い出される――東日本大震災で叩きのめされた日本に、なでしこジャパンが世界一に輝いて勇気を与えた2011年。植木という小さな才能(タレント)がサッカーにのめりこんでいった。
翌年には日テレ・メニーナ・セリアスに加入し、日テレベレーザまで駆け上がっていく。トップチームに昇格した2016年にはリトルなでしこの一員としてFIFAU-17女子ワールドカップ・ヨルダン大会に出場し、6試合・4得点と結果を残した。
そして本格的にサッカーに取り組み、わずか7年で女子代表入りを果たしたことになる。とはいえ、本人はあくまでもスタートラインに立ったに過ぎないと気を引き締める。
「(アンダー世代の代表と比べて)なでしこジャパンだと雰囲気がちょっと違いますし、何よりオンとオフの切り替えがすごく勉強になりました。今までなでしこジャパンは夢や憧れでしたが、一度呼ばれるだけでは意味がないので、定着できるように頑張ります」
高倉麻子監督からの「ピッチのなかで、どんどん自分を出していけ」という言葉が印象に残ったという。そして今回の5日間のトレーニングによって、先輩たちや後輩と一緒に過ごし、自身の目標が、より明確になった。
「まず近い将来ではU-20ワールドカップ(8月5日~24日まで、フランスで開催)で活躍して優勝するのはもちろん。U-20もひとつの過程として、必ずなでしこジャパンの舞台で活躍したいと思います」
夢や憧れが「目標」に変わった。2011年、あの澤誉希がワールドカップを掲げたシーンに心を躍らせたとき、少女はまだランドセルを背負っていた。あれから7年、植木理子はなでしこジャパンの逞しきストライカー候補として、二度目の世界一に挑戦する権利を手に入れた。
PROFILE/植木理子(うえき・りこ)1999年7月30日生まれ、神奈川県出身。162センチ・50キロ。AC等々力―日テレ・メニーナ・セリアス―日テレ・メニーナ―日テレ・ベレーザ。なでしこリーグ1部通算18試合5得点(2018年1月23日現在)。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI