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【WEリーグ】勝っても悔し涙。首位INAC神戸が迎える勝負どころ。マイナビ仙台、そしてベレーザと上位対決へ

INAC神戸の田中美南が決めた!写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

いまだ無敗という粘り強さは強み。

[WEリーグ 14節] INAC神戸 – マイナビ仙台/3月19日13:00/ノエビアスタジアム神戸

 首位に立つINAC神戸は13節のアウェーでのジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦、田中美南の一瞬の隙を突いたミドルレンジからのゴールを守り抜き、1-0の勝利を収めた。今週末の19日、4位マイナビ仙台レディースとホームで対戦する。

 6節のゴールから遠ざかっていた田中の決勝弾で勝点3を積み上げた。しかしビルドアップが上手くいかないGK山下杏也加は苛立ちを募らせ、その指摘を受けた途中出場の天野紗は呆然自失、効果的なポジショニングを探り続けていた西川彩華は思わず涙をこぼした。試合後のその表情は勝者のそれとは思えない厳しいものだった。

 後期再開試合となる12節・ちふれASエルフェン埼玉戦は阪口萌乃のゴールで先制しながら8分後に同点に追いつかれドローに終わっていた。今節は前期に取り組んでいた3バックにシステムを戻したが、ボールの奪いどころを見出せず、自陣から抜け出せない時間が長かった。多彩な攻撃を生み出せるはずのメンバーが揃っていながら、わずかシュート4本(後半は田中美のゴールのみ)と抑え込まれた。

 得点を決めた田中美も「ボールを動かせても空いたスペースを共有できていませんでした。背後でもらうコンビネーションが出てくれば……」と課題を挙げた。自身はこれで今季2ゴール目。満足いく結果を残せていないが、このゴールで焦燥感からは抜け出せたはずだ。

 前期に攻撃の要となっていた杉田妃和が中断期間にポートランド・ソーンズFC(アメリカ)へ移籍し、中断明け前にチームを再構築。しかも主力4選手が年明けからAFC女子アジアカップを戦うためチームを離れた。全員が揃ったのは2月中旬で、今後は試合を重ねながら組み立てていくしかない。

 星川敬監督は「前期と同じシステムに戻し、前節(4バック)よりは前進していても、全体的には前進できていません。もうちょっと思い出してもらわないと」と語る。選手たちと指揮官のイメージは共有できてはいるが、ピッチでの体現には至っていない。

 本来と異なるポジションでプレーする選手も多く、それぞれの立ち位置の修正で改善できる点もある。そこがハマった時の可能性も千葉戦では見られた。何より劣勢に立たされても勝利を掴めるしたたかさは中断明けも健在だ。

 今週末はマイナビ戦、そして「WE ACTIONDAY」を挟み、日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦と上位対決が続く。INAC神戸にとって、ここが勝負どころで、抜群の分析力を持つ星川監督の腕が鳴るところでもある。限られた時間でどのように選手たちを導いていくのかも注目点だ。

 いまだ無敗という粘り強さも強みである。そこを拠りどころに、スペースを作り相手の裏をかくINAC神戸的サッカーが覚醒するまで、それほど長い時間は必要ないはずだ。

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[取材・文:早草紀子]

Posted by 早草紀子

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