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宇佐美貴史の心に刻まれる恩人ペーター・ヘアマンの言葉

「常に『100パーセントでやれ』。その100パーセントとは、自分で思っている以上に力を出すことだ」。

バイエルンのハインケス監督(写真)&ヘアマンコーチの体制下で、宇佐見は2011年のドイツ初挑戦時にプレーしていた。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

 しかし、ハインケスがそのヘアマンを再び必要とした。恩師ともいえるコーチがデュッセルドルフ加入から数か月で、宇佐美のもとを去って行ってしまった。

 あっという間の出来事で別れの挨拶は交わせなかったという。ただ、そんなヘアマンからの心に刻まれている言葉がある。

「常に『100パーセントでやれ』と言われました。ただ、それは自分が思っている以上でやってこそ、100パーセントになる。それを出しきらなければお前はダメだ、って。そういったことを言ってくれたことは心に残っています。よくコミュニケーションをとってくれていたので、彼の存在は大きかったと思います」

 恩師というより恩人と言えるだろうか。ヘアマンコーチが退団したあと、その言葉を胸に戦ってきた宇佐美は徐々に出場機会は得ていった。左サイドをメインに両ウイングで起用され、ハードワークの面が評価されてきた。ただ、なかなかゴール前でのチャンスに絡めずにいる。言い替えれば、足りないのは目に見える結果。あとはゴールを決めていくだけだ。

 宇佐美が「100パーセント」の壁を飛び越えた先、デュッセルドルフの1部昇格であり、日本一のアタッカーであることの証明が、きっと待っているはずだ。

取材・文:塚越始

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