6分間の”パス回し”のあと、熊谷紗季の一言で取り戻したなでしこの笑顔

なでしこジャパンを支える熊谷。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

女子アジア杯準決勝の中国戦、「攻撃陣に力を出してもらうことが、私たちの課題」。

 [AFC女子アジアカップ準決勝] 日本 – 中国/2018年4月18日2時(日本時間)/アンマン(ヨルダン)

 グループステージ最終のオーストラリア戦、なでしこジャパン(日本女子代表)は阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)のゴールで先制しながら、86分に失点を喫してしまう。しかし、痛恨ではあったが、「本当の怖さは感じなかった」と熊谷紗季(オリンピック・リヨン)はそれまでの試合のプロセスに収穫を見出していた。後半、狙い通りに守備をしっかりハメて対応できていた。

 日本が1位通過するためには勝利が必要だった。しかし最優先は準決勝進出とワールドカップの出場権得。ベンチからの指示は「1-1でOK」で、最終ラインによる6分間のパス回しのあとの選手たちに、最初、笑顔はなかった。失点するまでの流れは理想的。粘り強く戦えることの自信が備わりつつあっただけに悔やまれたドローだった。

「次に勝って、もう一度オーストラリアと戦おう」

 試合後の挨拶を終えたキャプテンの熊谷がそう声を掛けた。ワールドカップ出場権は獲得できたんだから、と明るく手を叩くと、ようやく選手たちに笑顔が戻った。

「守備で耐えられたのは、前からプレッシャーを掛けてくれたから。次は自分たちがどれだけ攻撃に時間を費やせるか。攻撃陣に力を出してもらえることが、私たち(守備陣)の課題です」

 熊谷はそのように語った。

 今大会はまず守備に重点を置きながら攻撃の糸口を探り、韓国、オーストラリアに引き分けた。結果を残すなかで、右サイドバックの清水梨紗(ベレーザ)、センターバックの相棒の市瀬菜々(ベガルタ仙台)ら若手もしっかり台頭してきた。

「自分がチャレンジしたあとのカバー、それに声掛けとか、とても頼もしいです。自分もレベルアップしなきゃいけないし、菜々(市瀬)とリサ(清水)も付いてきてほしい」と熊谷は言い、刺激し合える関係となってきた。

「いろんなことを払拭する準決勝にしたい」

 中国との準決勝、もちろん熊谷は最終ラインの軸だ。このまま粘りの守備を貫き通し、そのなかでこれまで以上に攻撃の厚みをもたらすことができるか。いつ守備陣がリスクを負ってでも、攻撃に出ていくのか。そのコントロールの鍵は、最終ラインを支える熊谷が握っている。

取材・文:早草紀子
text by Noriko HAYAKUSA

Posted by 早草紀子

Ads

Ads