【日本代表監督問題】森保氏? 海外からの「売り込み」のカラクリ

就任記者会見で田嶋会長(左)と握手する西野監督。再び「オールジャパン体制」継続か? (C)SAKANOWA

監督”自身”の本気度は千差万別。

 FIFAワールドカップ(W杯)ロシア大会をベスト16で終えた日本代表は、西野朗監督の後任人事が最大の焦点になっている。

 これまでドイツW杯で母国を3位に導いたユルゲン・クリンスマン氏、名古屋グランパスを率いた経験があり昨季でアーセナルを退いたアーセン・ベンゲル氏らの名前が取り沙汰された。さらに森保一氏の東京五輪代表との兼任監督の案も浮上。

 日本サッカー協会の田嶋幸三会長はクリンスマン氏と接触があったとされることとともに、「決定的」という報道を完全否定している。また田嶋会長も認めているが、海外から多くの「売り込み」があるという。イタリア人指揮官が日本代表監督への意欲を示すインタビューも登場。にわかに事態が騒々しくなっている。

 日本代表監督を選考する背景を改めて整理したい。

 まず、代表監督を選任するのが日本サッカー協会の技術委員会。選考する人材プールは、その技術委員会がピックアップする監督候補者と、田嶋会長の言う「売り込み」の2パターン。アルベルト・ザッケローニ氏、ヴァヒッド・ハリルホジッチ氏は「売り込み」からの選任だった。

 一方、ハビエル・アギーレ氏は日本サッカー協会がずっとコンタクトを取り続けて”射止めた”、過去にないパターンだった。

 もちろん最終的には双方合意のもとで契約を結ぶのであり、結果的には関係的には”相思相愛”と言える。

 ただ、厄介と言えるのが、「売り込み」は基本的に仲介人(代理人)によるものだ。実はその監督候補者本人が「売り込み」(今回で言えば、日本サッカー協会への打診)を知らない場合もある。

 要するに仲介人の意気込みのレベルは千差万別。本気モードから”今こんな人材が空いていますよ”という紹介程度まで幅広い。代表ではないが、過去にはジェフ千葉(当時・市原)にイビチャ・オシム氏サイドからの「売り込み」のFAXが届いていたが、その代理人を介さず発展し、オシム氏と接点のあった当時の祖母井秀隆GMが最終的にオーストリアまで本人と会って直接交渉した話は有名だ。もしかすると、今回のクリンスマン氏の情報もそういった中の一つだったか。

 田嶋会長がワールドカップからの帰国記者会見で、日本代表の新監督の選定について「技術委員会に一任している」と語った。関塚隆技術委員長らには、どのような人材を欲しているかを明確にし、その後、人選を絞り、交渉に入ることになる。確かに外国人監督だと関門は多い。しかも現在はちょうど欧州の移籍マーケットが多忙なときだ。一流の人材はほとんど残っていない。

 果たして、このタイミングで人選を急ぐべきなのか。それもまた4年ごとに繰り返される問題の一つと言える。西野氏に日本代表を半年や1年間、率いてもらう間にじっくり人選と交渉を進めるというのも一つの手かもしれなかった。

 しかも本来は希望する候補者にアタックするのが理想的だが、ネームバリューがあればあるほど、足もとを見られて金銭の駆け引きにハマってしまうこともよくある話だ。

 逆にやはり本気度の高い「売り込み」の人材であれば交渉はまとまりやすい傾向にある。ただ、今焦点であるのは、果たして、それが日本サッカー界にとって求められている人材であるのか。今回は「日本サッカーの行く先」を最優先にした人選が問われる。

 50代という”現役バリバリ”のアギーレ氏招聘の際は、当時の原博実技術委員長と霜田正浩委員のコネクションと交渉力を結実させたものだった。果たして、関塚技術委員長をはじめとする現在の技術委員会にも、そういったコネクションや交渉力があるのか。そういった調整力も試される。または、日本人指揮官こそ最適解だという結論を下すのか。今、日本サッカー界を大きく左右する決断が下されようとしているのは間違いない。

文:サカノワ編集グループ

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