聖和学園“繰り上げ”から全国1勝を掴むまでの軌跡。つないだプリンスリーグ、乗り越えたクラスター│全国高校サッカー選手権
聖和学園 写真:アフロスポーツ
バク転ゴールパフォーマンスの小杉唯斗「国立でやりたい」
[全国高校サッカー選手権 1回戦] 聖和学園 3-0 那覇西 / 2025年12月29日 / 味の素フィールド西が丘
第104回全国高校サッカー選手権1回戦、聖和学園が那覇西を3-0で下し、2回戦進出を決めた。12月31日の2回戦では、徳島市立とUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで対戦する。
聖和学園は宮城県大会決勝で仙台育英に敗れ、準優勝で涙を飲んだ。しかしその後、仙台育英の出場辞退により、“繰り上げ”で全国大会への出場が決定した。
例年は県大会終了により3年生は引退となる。今季はプリンスリーグの2試合が残っていたため、トップチームの3年生は活動を継続していた。
ただし、チームは新人戦を控えた1・2年生主体へと移行。プリンスリーグも昇格・残留が懸かる状況ではなく、3年生はコンディションを考慮し、トレーニング負荷をやや落として調整していたという。
また、寮生活ではインフルエンザのクラスターが発生した。万全のメンバーでトレーニングできる時期は限られていた。
それでも、結果的に3年生が完全な引退をせず活動を続けていたことは、全国大会を迎えるうえで大きなプラスとなった。
選手権出場決定後は、聖和学園を巡るさまざまな報道もあったが、加見成司監督は「一切見ないようにした」と語り、外部の情報を遮断。選手たちも雑音に触れず、ピッチに集中する環境を整えてきた。
そして迎えたこの日、全国の舞台で、聖和学園の持ち味が存分に引き出された。「仙台よりも全然暖かい」(加見監督)という気候、西が丘の良質な芝生の上で、選手たちはのびのびとプレーし、卓越したテクニックを随所で発揮した。
1得点1アシストの活躍を見せた小杉唯斗は、幼少期に器械体操を経験しており、ゴール後には鮮やかなバク転を披露。チケットが完売した満員のスタンドを大いに沸かせた。
名門・那覇西に内容の面でも完勝を収めた。県大会準優勝からの全国出場という背景を踏まえても、宮城県勢のレベルの高さを示す結果となった。
小杉は試合後、あの宙返りのゴールパフォーマンスを「国立でやりたい」と、準決勝、決勝進出への強い意欲をのぞかせた。
聖和学園の挑戦は、ここから始まる。




