久保建英のクロスから滝裕太が技ありヒール弾。二つの笑顔を浮かべた理由とは?
U-19日本代表のMF滝裕太(清水)が今大会初出場初先発、そして初ゴールを決めた!(C)AFC
U-19日本代表の大勝劇の火付け役となる先制弾。イラクに勝ちグループ3連勝!
[U-19アジア選手権 GS3節] 日本 5-0 イラク/2018年10月25日/パカンサリ/インドネシア
U-19日本代表がグループステージ(GS)のB組・最終節U-19イラク代表戦、今大会初先発初出場した滝裕太(清水)が貴重な先制ゴールを決めて、5ゴールを奪うチーム大勝劇の火付け役となった。
「今日は結果を残すことが目標でした。そこは達成できたと思います」
滝は試合後、少し安堵したように笑みをこぼした。
4-4-2の左サイドハーフで先発。日本のミスを突かれてイラクの決定機をGK大迫敬介が阻止した直後の開始10分だった。ボールを持った右MFの久保建英がテクニカルな切れ込むと、滝がゴール前へ詰める。そこに入ったクロスを滝がヒールで流して方向を変え、ゴールネットを揺らした。
日本のこの日先発した11人は実戦ではほぼ初めてプレーする顔触れ。不安定な立ち上がりだっただけに、大きな意味を持つ先制ゴールとなった。
「ずっとクロスの練習をしていて、どのようなときにニアに入るかとか決めています。だから、そこに自分が入れて、あとは上手く合わせるだけでした」
滝はそのように振り返る。45+3分には、再び久保のパスから左サイドを抜け出し、今度は強烈なシュートを放ったが……。これは惜しくもクロスバーを叩いた。
「自分の得意としている位置だったので、積極的にシュートやドリブルに行こうと思っていました。それだけに……ゴールにならなかったのは悔しかったです」
滝は今後は悔しそうに苦笑を浮かべた。
さらに田川亨介(鳥栖)、原大智(FC東京)2ゴール、斉藤光毅(横浜FC)3試合連続ゴールと、アタッカー陣が活躍。この日は温存された宮代大聖(川崎ユース)も北朝鮮、タイ戦で2試合連続3得点と結果を残す。影山雅永監督も「全員がしっかり準々決勝に合わせて調子を上げてきた。誰を起用すべきか。嬉しい悲鳴ですよ」と語っていた。
所属先の清水エスパルスでは、今季リーグ4試合に出場。なかなか層の厚いアタッカー陣の争いに食い込めずにいたが、この日の一撃をキッカケに、いろいろなもの打ち破り、さらなる進化を見せてくれそうだ。
先制点を決めた歓喜の笑みと、”ゾーン”に入りながら決め切れなかった悔しい笑み。90分間フル出場を果たした滝が浮かべた二つの笑顔は、充実感に溢れていた。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI