【ルヴァン杯決勝直前】両指揮官のキーワードから探る優勝へのシナリオ
ルヴァンカップ決勝で激突する湘南の曺監督(左)と横浜FMのポステコグルー監督(右)。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
曺監督は「普段着」、ポステコグルー監督は「メソッド」。
[ルヴァンカップ 決勝] 湘南 – 横浜FM/2018年10月27日/埼玉スタジアム2002
ルヴァンカップ決勝の湘南ベルマーレ対横浜F・マリノス戦が10月27日13時5分から、埼玉スタジアム2002で行われる。改めて両チームの監督が前日記者会見で語ったキーワードから、それぞれの優勝へのシナリオを紐解いてみる。
優勝するために必要なものは――。そう問われた両指揮官は、ほぼ同じ答えを導き出した。
「タイトルを獲ったことがないので、よく分かりませんが」
湘南の曺貴裁監督はそう前置きしたうえで次のように語った。
「普段どういう形で選手、スタッフがピッチでやっているかが映し出される。(特別な)良い服を着てサッカーをするのではなくて、普段着のサッカーでどれだけF・マリノスさんに対抗できるか。その気持ちでやりたいです」
曺監督はそのように「普段着」という言葉を使って説明した。
一方、横浜FMのアンジェ・ポステコグルー監督は、あくまでタイトルを獲るために戦ってきたことを強調した。
「観客も多く訪れるなかでプレッシャーも掛かると思うが、監督も選手もタイトルを獲るために日々の練習に取り組んできました。自分たちのサッカーができるかが大切。それができなければ湘南が勝つでしょうし、自分たちの練習でできていることを出せるかに懸かってきます」
相手チームに対する印象と、抑えるべきストロングポイントについて。
曺監督は「ポステコグルー監督のチーム作りに興味があり、練習で実感できる成長を試合に出せていることが、F・マリノスの選手の強さや選手の生き生き感につながっていると思います。それにすべて蓋をするのは難しく、すべてやるのはうまくいかない。互いの良さを出しながら粘って戦えるかが大切。少しの集中力の欠如がゴールに直結します。勝負の際でどれだけ力を発揮できるか」と語った。
一方、ポステコグルー監督は「トーナメントで決勝まで勝ち上がってくるのは『強いチーム』だからこそ。湘南は規律がしっかりし、ハードワークができるチーム。日産スタジアムでの試合は4-4で、アウェーでは1-0で勝てたが非常に難しい試合だった。決勝まで来たのだから『いいチーム』。そこに強みや弱み、そういったことは関係ないと思います」と答えた。
また、ポステコグルー監督はサポーターに対し、「就任1年目、スタイルを大きく変えたなかで、サポーターの皆さんも一緒についてきてくれて、本当に感謝しています。皆さんの想いが報われるためにも、明日必ず勝ちたいと思います」と呼び掛け、さらに外国人記者から来季去就についていきなり聞かれると、「メソッドをやっと表現できてきました。サッカーの世界は未来は分かりません。日本人の選手たちと一緒に働けることを嬉しく思うし、まず明日の試合。次の試合で勝つことに集中し、考えるのみです」と説明し、一戦必勝の姿勢を強調した。
最後に曺監督は次のようにも語った。
「120パーセントの集中力で臨みます。普段着で臨むが、選手たちは普段以上のモチベートで臨むと思うので、力を引き出したい。沢山の人がこうしたもの(タイトル)に近づこうと1ミリ、1センチ努力したからこそ、今があります。そのことを選手に伝え、戦わせたい。その先にタイトルがあるのではないかとおぼろげに思っています」
いろいろな立場の人たちの想いを代弁するような言葉だ。
曺監督は「普段着」、ポステコグルー監督は「メソッド」というキーワードを挙げた。そして両チームともにあくまで「決勝対策」というよりも、この決勝でも自分たちのスタイルを貫くことを強調していた。
湘南は多くの選手が初めてのタイトルマッチで、指揮官がいかにそのモチベートを上手く引き出し、ピッチに落とし込むかを考えていた。一方、元日の天皇杯決勝で敗れている横浜FMは、タイトルへの飢餓感も強いように感じられる。試合が始まれば、様々な局面で、様々な駆け引きも生まれてくるだろう。
湘南が勝てば初、横浜FMが勝てば17年ぶり。神奈川決戦はこのあと13時5分開始だ!
文:サカノワ編集グループ