初の成功例なるか…鈴木彩艶のPSG移籍に不安。メガクラブ→期限付き移籍…レンタルバックで活躍、日本人選手はなし
鈴木彩艶。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
パルマと総額約64億円で合意間近、ユベントスへの期限付き移籍案も浮上。
イタリア・セリエAのパルマ・カルチョ1913に所属するサッカー日本代表(SAMURAI BLUE)GK鈴木彩艶(Zion SUZUKI)のパリ・サンジェルマン(パリSG)移籍が、現実味を帯びてきた。
移籍情報に精通するファブリツィオ・ロマーノ記者は8月11日、パリSGが鈴木の獲得に向けてパルマとの合意に近づいていると報じた。移籍金は総額3500万ユーロ(約64億円)のパッケージになるという。
ただし、鈴木がそのままパリSGに残るのか、それともユベントスFCへ期限付き移籍するのかについて、詳細はまだ詰められていない。ルーカス・シュヴァリエの去就も絡み、週明けに協議が行われるという。
パリSGは将来を見据えたGK補強の最優先ターゲットとして鈴木を高く評価してきた。一方、鈴木はパルマで2シーズンにわたって主力を担い、継続的に試合へ出場できる環境を重視していると報じられている。
そこで浮上しているのが、パリSGが鈴木を完全移籍で獲得したうえで、ユベントスFCへの期限付き移籍させるプランだ。
つまり、パルマからパリSGへの完全移籍、即ユベントスへのレンタルというプランだ。
とはいえ、日本人選手の過去を振り返ると、このキャリアプランには不安もある。メガクラブ→即レンタル移籍で、その保有元のメガクラブでプレーできた選手はこれまでいない。
しかもGKは極めて特殊なポジションであり、5大リーグの一つであるセリエAのパルマで2シーズンにわたり守護神としてプレーできたのも日本人選手では初めてだった。
久保建英は2019年、FC東京からレアル・マドリードへ完全移籍。その後、マジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェ、再びマジョルカと期限付き移籍を経験した。スペイン1部で実績を積みながら評価を高めたものの、レアル・マドリードのトップチームでは公式戦に出場せず、2022年にレアル・ソシエダへ完全移籍した。
板倉滉も2019年、川崎フロンターレからマンチェスター・シティへ完全移籍したあと、フローニンゲン、シャルケへ期限付き移籍。欧州で着実に評価を高め、日本代表でも中心選手へ成長したが、マンチェスター・シティで公式戦に出場することなく、ボルシア・メンヒェングラートバッハへ完全移籍した。
久保、板倉ともにメガクラブへの移籍を足掛かりに欧州でキャリアを切り拓いたという点では成功したと言える。しかし、期限付き移籍先で結果を残し、保有元のメガクラブへ戻って主力になるというルートには至らなかった。
もちろん鈴木の場合、期限付き移籍先として名前が挙がっているのはイタリア屈指の名門ユベントスだ。そこで正守護神の座をつかめれば、パリSG側の評価をさらに高めることにもつながる。
一方でGKは基本的に一つしかポジションがなく、序列が固まれば出場機会を得るのは簡単ではない。パリSGが鈴木をどのような中長期的プランで獲得しようとしているのか。現段階では、読めない要素ではある。加えて、設定される高額な移籍金がキャリアの足かせになる可能性もある。
メガクラブに完全移籍し、期限付き移籍先で実績を残したあと、保有元へ戻って主力の座をつかむ――。鈴木が日本人選手として、そのルートを切り拓く初の成功例になるのか。総額3500万ユーロという大型移籍とともに、そのキャリアプランの行方は果たして――。
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