ブラジルでオンライン賭博を禁止。スポーツベッティング合法化から8年、サッカー界に激震
日本代表戦に臨んだブラジル代表のスターティングイレブン。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
リーグ、クラブ…100億円単位で減収。10月5日までに口座から全額を引き出すよう大統領が指示
ブラジル政府は9月25日、オンライン賭博を禁止する暫定措置令(MP)を発表した。対象となるのは、ブラジルで「bets」と呼ばれる固定オッズ型の賭博サービスで、スポーツベッティングだけでなく、オンラインカジノなどのゲームも含まれる。
ブラジルではこれまで、認可を受けた事業者によるベッティングマーケットを整備してきた。2018年にスポーツベッティングを合法化し、2023年にはオンラインゲームも制度の対象に加え、2025年1月からは財務省の認可を受けた事業者だけが国内で営業できる仕組みとなっていた。
ところが今回、ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領が、この市場そのものを禁止するMPに署名した。利用者は10月5日まで残高を引き出すことができ、10月6日からサイトやアプリの停止措置が進められる予定となっている。
背景には、賭博による家計への負担や依存などの社会問題がある。違法賭博を巡っては、脱税やマネーロンダリングなどの捜査も行われている。ただし、今回の禁止は「犯罪組織の関与」を直接の理由としたものではない。合法的に市場を規制してきた政策から、オンライン賭博そのものを禁止する政策へ転換したことがポイントとなる。
サッカー界への影響も大きい。『UOL』によると、賭博事業者からのスポンサー料は2025年のブラジル・セリエAクラブの総収入の7.9%に相当する。20クラブのうち14クラブが2026年に賭博事業者をメインスポンサーとしており、2025年のスポンサー料は合計11億4000万レアル(約345億円)に達したという。
クラブ別では、2025年の収入に占める賭博事業者からの収入がコリンチャンスで17.3%、フラメンゴで12.71%、スポルチで12.64%、ジュベントゥージで10.49%。ユニフォームスポンサーだけでなく、大会、スタジアムのネーミングライツ、テレビ広告、ピッチサイド広告などにも賭博事業者の資金が入っている。
禁止の動きに対して、ブラジルの主要クラブや州サッカー連盟は賭博市場の維持を求めていた。『グローボ』によると、クラブ側は認可された賭博事業者からの投資がスポーツ界の主要な収入源の一つとなっており、小規模クラブや下部リーグ、露出の少ない大会にも資金が及んでいると主張していた。
『UOL』は、フラメンゴ側が禁止による2027年の即時的な収入減を4億~4億3000万レアル(約121億~130億円)と見積もっている。
日本のサッカー界でもオンラインカジノを巡る広告や利用について禁止されている。ブラジルでは一旦合法化された一方、今回の禁止によって、その資金が一気に失われる可能性が出てきた。ブラジルの動きは、日本のスポーツ産業にとっても無関係とは言えない事例となりそうだ。
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