【なでしこ2019へ】宇津木瑠美が語る「佐々木ジャパン」と「高倉ジャパン」の違い
アジアカップ制覇を果たして歓喜する宇津木。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
失いかけた自信を掴んだアジア2冠。さらに向上心を強め、「私たちにとって忘れられない1年になった」。
なでしこジャパン(日本女子代表)を中心選手として牽引する宇津木瑠美(シアトル・レイン)が今年最後の女子代表の活動となった11月11日のノルウェー女子代表戦(〇4-1)のあと、これまでの取り組みを振り返るととともに来年開催されるフランス女子ワールドカップ(W杯)に向けた課題を挙げた。
新生なでしこジャパンは高倉麻子監督のもと、1年7か月活動してきた。今年はアジア2冠(アジアカップとアジア大会)を達成し、フランス女子W杯の出場権も獲得。一方、アルガルベカップやアメリカ遠征では世界の上位国とまだ差があると実感する1年にもなった。
宇津木は「佐々木ジャパン」から「高倉ジャパン」の変化について語る。
「佐々木さんのときは海外組が合宿に参加することができないまま、大会に臨むことが多かったんです。高倉監督が就任してから、海外の選手も含めて代表合宿に参加できるようになり、選手間の気持ちが近く、ミーティングの数も増えて、すごく充実した1年になったと思います。(結果として)発揮していかないといけない1年でもあり、私たちにとって絶対に忘れられない1年になったと思います」
そのように、さまざまな年齢や所属クラブの選手が入れ替わるなかでも、チームとしての一体感を高めていき、加えて結果を残すこともできた。世界に挑むための土台はできたと実感できたと言う。
「(自身の手応えは?)選手が入れ替わっても結果を残せていることは重要だと思います。内容が良かった、という試合も増えています。そこは自分(選手)たちで突き詰めないといけないですし、そのうえで勝てたことは良かったと思います」
昨年末のE-1東アジア選手権で北朝鮮に敗れ、さらに2月からのアルガルベカップでオランダに6失点の大敗、5・6位決定戦でもカナダに0-2で負けて、自信を失いかけた。それだけに4月のアジアカップでの優勝は転機になったと言う。
「アジアカップからポジティブな方向に変わっていきました。もちろん私たち年齢的に上の選手もサッカーのプレーのみならず、ピッチ内外での若い子たちとの関わり方、スタッフとの関係、それにメンタル的なケアなどについて考えてきました。そこで高倉監督はオフザピッチを含めた関わりから私たちを強くしてくれました。精神的な強さが少しずつ結果につながってきているのかなと思います。これからの苦しい時、プレーがブレないことが大切になりますね」
宇津木にとっても、高倉監督のもとでの活動は来るたびに発見があり新鮮さがあるようだ。と同時に、日テレ・ベレーザを経てフランス、アメリカと海外でのプレーが8年目を迎える彼女の何気ない話も、若い選手たちにとっては、価値あるものになっているに違いない。
フランス女子W杯は2019年2月8日にスケジュールが確定し、開幕は6月7日に迎える。年明けとともに、メンバー争いも一気にヒートアップしそうだ。
文:サカノワ編集グループ