【浦和】異色”新人”岩武克弥はすでにJ2リーグ10試合出場。「愛着ある大分」から明大を経て、晴れてプロの舞台へ
明治大から浦和に加入する岩武克弥(中央)。左は横浜FCの袴田裕太郎、右が大宮の小野雅史。(C)SAKANOWA
柴戸海とは明大と2017年ユニバー世界制覇のチームメイト。
強豪の明治大学を支えてきたキャプテンの岩武克弥が2019シーズン、浦和レッズに加入する。
大分トリニータのアカデミーから大学を経てのプロ契約。しかも岩武は大分U-18時代の2014年、2種登録(アマチュアのままプロの試合に出場できる)選手として、トップチームのJ2リーグ10試合に出場している。一時はサイドバックのレギュラーの座を掴んでいた。
西川周作、梅崎司、清武弘嗣、東慶悟、為田大貴ら、大分のユースチームは数多くのタレントを輩出してきた。もちろんトップチームでの将来を嘱望されてきた地元の大分市出身の岩武だが、さらなる成長のために大学進学を選んだ。当時では珍しいパターンだった。
岩武は大分への想いを語る。
「大分は自分を育ててくれた愛着のあるクラブです。ただ、自分を改めて見つめ直す意味でも、大学に進み、人間形成の面であり、人間的にもさらに大きくなって、もう一度、4年後にプロの舞台にチャレンジしたいと思ってきました」
そして大分のスタッフも最後は明治大に進む決断を下した岩武を、快く送り出してくれたそうだ。そういった後押しを受けて、岩武は大学時代の4年間しっかり研鑽を重ね、今回、浦和での挑戦権を掴んだ。
「『4年後にプロになる』と思ってやってきて、スタートラインに立つことができました」
あくまでもスタートライン。それでも実質的な「新人」とは立場は異なる。今年23歳になるだけに、1年目から出場機会を掴む強い覚悟を持って挑む。
浦和の2018シーズンのキャンプに参加し、チームの雰囲気に触れている。その時から主力メンバーの入れ替えは少ないが、監督は変わっている。
また明治大の一つ先輩である柴戸海との共闘になる。二人は「世界制覇」を成し遂げた2017年のユニバーシアード台北大会でもチームメイトだった(岩武は右サイドバック、柴戸はボランチ)。
「オリヴェイラ監督のもと、4バックであれば右サイドバック、3バックであればストッパーやウイングバック。サイドで勝負したいです」
岩武はそう決意を示す。また、ユース時代の同期のうち坂井大将がアルビレックス新潟から大分に復帰しており、J1での対決も実現するか。本人もピッチでの再会を楽しみにしていた。
「1年目からしっかり結果を残せるように、一日一日しっかりやっていきます」
大分から明治大を経て、サッカーのみならず人間的にもスケールの大きくなった岩武の浦和での戦いがいよいよ始まる。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI