ファンも家族も大事にしたい。娘の発表会に間に合わず…仙台の関口が一石を投じる
仙台の関口訓充。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
初のファンサービスと同日に。「結局行けなかった。絶対に来てねと言われたけれど」。
ベガルタ仙台の今年初めてのファンサービスデーが3月23日に設けられ、選手たちが泉サッカー場でファンやサポーターのサインに応じて触れ合った。2月17日以降、インフルエンザの感染予防などのため選手とファンの交流を控えてきたため、今回のリーグ再開1週間前のタイミングで実施された。
ただ、クラブの顔の一人である関口訓充はSNSのツイッターで(アカウントは @kuni32kun ) 、同日、娘の”発表会”の晴れ舞台が重なっていることを打ち明けた。そして練習とサイン会を終えて、発表会になんとかして間に合わせたかったが……「結局行けなかった…朝からパパ絶対来てねって言われてたのに…なぜ行かせてもらえないか…この対応には疑問しか残らない。非常に残念だ!」とつぶやいた。
ファンなどからいろいろなコメントが書き込まれるなかで、関口は「みなさんありがとう!俺は愚痴ってるわけじゃなく、ファンも大事だけど俺はそれ以上に家族を大事にしてる!それが試合ない週だったからなおさら行きたいと思っただけ!言ってることが正解とは思わないけど理解はしてもらいたい!子を持つ親ならみんなそうではないのかなと…もうこの話は終わりで」と書き込んだ。
Jリーグの選手はシーズン中、基本的に週末に試合が組まれているため、家族の大切なイベントがあっても思うように参加できない。関口もその現実を受け止めている。
ただ今回を整理すると――
・クラブもオフ期間を利用して初めてのファンサービスを実施した
・その日に関口が楽しみにしていた娘さんの発表会が重なってしまった
という状況に。
この日を楽しみに遠方から関口に会いに来たファンもいたという。一方、関口が言うように、「言ってることが正解とは思わないけど理解はしてもらいたい」というのは父親という立場での本音でもあるだろう。
また、サッカー選手のみならず、週末や祝祭日に仕事をする社会人が、大切な子供のイベントがあっても、仕事を優先せざるを得ない状況は、日本で日常茶飯事で起きていること。関口が訴えるように、家族を大切にしたい、という風潮が世間一般的に徐々に強まるなか、”まず仕事ありき”の常識に一石を投じた感じだ。
繰り返すが、関口はシーズン中の試合が行われている時のことを言っているのではない。今回ちょうどリーグ中断期間の試合が1週間先にある段階で、クラブと娘さんのイベントが重なったことで、なんとかできなかったかとつぶやき、「家族」についての問題を提議した形だ。
限られた情報のなかでの提案なのだが、他にも家族の事情などのある選手もいただろうから、例えば……数班に分けて日を分けて実施する。逆にこの状況をあえて活用して、関口のみのサイン会を実施する(娘さんの発表会参加後だったら、ファンサービスに一段と気合いが入っていたはず)――など、柔軟な対応もしてみても良かったかもしれないか。
いずれにせよ、関口が「家族のつながり」について、いろいろ考えさせる投稿になった。
文:サカノワ編集グループ