川崎の脇坂泰斗がJデビュー「声援が聞こえてきて楽しくプレーできました」
川崎の脇坂泰斗。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
「川崎のプリンス」への一歩を踏み出す。
[J1 8節] 川崎 2-0 湘南/2019年4月19日/等々力陸上競技場
川崎フロンターレで2年目を迎える23歳のMF脇坂泰斗が4月19日の湘南ベルマーレ戦で、Jリーグデビューを果たした。
85分にこの日ゴールを決めた知念慶と交代してピッチへ。そのまま前線に入り、ゼロトップ気味の布陣にして、軽快にボールを収め、パスを散らしながら試合を締めた。
「流れのなかで自分のリズムを作ろうと思い、たくさん受けに行って、結果、得点にはなりませんでしたが良いシーンを作れました。展開が展開だったけど、次第に落ち着いてできました。 両チームともにオープンになっていたので、最後はコンパクトにしようというところで、心掛けてプレーしました」
本当はさらに攻めたいところだが……。残り5分、試合を壊さないことに意識が働いたという。
「間でパスを受けて、ターンできるんですけれど、一度戻して(陣形を)コンパクトにと意識して。流れができるようにプレーしました。ただ、こうしたオープンな展開でなくても、チャンスを作り出せる選手になっていきたいです。攻撃の中心となれるように、日々のトレーニングから質を高めていきたいです」
等々力のピッチに立った時はやや緊張したそうだが、「最初は体が硬くなってしまったけれど、サポーターの声援が聞こえてきて、そこから楽しくプレーできました」と笑みをこぼした。
次なる具体的な目標は――。
「こういう真剣勝負の舞台に立って、そのなかで攻撃の部分で違いを出せる選手になっていきたいです」
脇坂はまっすぐ向いて語った。川崎ユースからは昇格できず阪南大に進んだ。その際、クラブから掛けられた「4年後に帰ってきほしい」という言葉を胸に刻んで精進してきた。そして昨季、川崎でプロに入る、その目標を達成し、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)と天皇杯に1試合ずつ出場。2年目のこの日、ついにJリーグデビューを果たした。
学生時代についたニックネームが『プリンス』。今度は川崎のプリンスになるための一歩を颯爽と踏み出した。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI