【FC東京】平川怜がクールに令和初出場。“同期”久保建英の劇的弾に「あれが彼の良さ」
磐田の小川航基と競り合うFC東京の平川怜(右)。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
「逃げ切りのカードから、自分からゲームを変えるカードになっていきたい」
[J1 11節] FC東京 1-0 磐田/2019年5月12日/味の素スタジアム
久保建英が劇的決勝ゴールを決めたジュビロ磐田戦、試合終了間際の89分にその久保と交代でピッチに立ったのが19歳の平川怜だった。今季のルヴァンカップですでに2試合フル出場していたが、リーグ戦は初出場。これが令和初登場に。2017年11月1日に久保とともに揃ってプロ契約を締結した“同期”のリレーで味スタに勝利の歓喜をもたらした。
プロ契約を結んだ月、J3での初ゴール、さらにJ1デビューとステップを踏んだ。ところが、その試合直後の11月22日の練習で右足第5中足骨基部の骨折を負い、そこから長く戦列を離れることになってしまった。昨季もJ1出場は1試合にとどまった。
そして今季、ようやく掴んだリーグ戦初出場のチャンス――。
「(無失点で勝ち切るという)最低限できたのは良かったです。短い時間だったので、力を出し切ることを意識してプレーしました」
そのまま久保のいた右MFに入った平川は、クローザーとしてサイドの守備を引き締めた。相手が久保のいた同サイドを狙ってきていただけに、高い集中を要求された。そしてセットプレーでは、東京五輪の日本代表候補でもある小川航基とのマッチアップなども冷静かつ慎重にこなし、1-0のシャットアウト勝利に導いた。
「目の前の試合と練習で思い切り100パーセントでやることが大事だと、現状、それが自分の中で整理できてきています。それをやり始めているからこその(磐田戦の)出場だったと思うので、そこは続けていきたいです」
そのように、何をすべきか、が自分のなかで明確になってきたという。
ベンチから見守った84分の久保建英のボレー弾は、自分のことのように嬉しかった。同時に、平川自身も試合を決定づける仕事のできる存在になっていかなければ、という思いを強めた。
「劇的なゴールを、今まで何度も見てきました。本当にあれが久保選手の良さ。一人でゲームを変えられるところなんて、そこは自分もそのようにやっていきたいです。J1で活躍するためには、(J3でも)時間やメンバーとは関係なくやれればと思います」
一歩ずつ――。長谷川健太から求められる役割も、段階的に上げていきたいと考える。
「今日は逃げ切りのカードでした。それを自分からゲームを変えるカードにしないといけない。そのためにも、まだまだ練習していく必要を感じています」
自身の状況を客観的にも見つめ、先を見据える。J1の試合に出ていくための準備段階(練習)でのルーティンを掴んだのは何より前進だ。FC東京にとっても、令和の新時代を支える頼もしい存在。チームにとっても、平川にとっても、大きな意味のある「出場時間1分」を刻んだ。
文:サカノワ編集グループ