【神戸×名古屋】『誤審』だった!?イニエスタの芸術的スルーパスからPK獲得
神戸のアンドレス・イニエスタ。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
むしろ一瞬を見逃さない宮原和也の持ち味が光った場面だったか――。
[J1 17節] 神戸 5-3 名古屋/2019年6月30日/ノエビアスタジアム神戸
MFアンドレス・イニエスタの芸術的なスルーパスから、郷家友太がペナルティエリア内で仕掛けたところへ……宮原和也が体を入れてボールを奪い取ったかと思われたが――。山本雄大主審は笛を吹いて宮原のファウルを宣告し、神戸にペナルティキックを与えた。そしてこのPKをイニエスタが決めて、3-2と再び勝ち越しに成功した。
しかし、宮原が郷家にコンタクトをしてボールを奪ったチャージは「正当なコンタクト=ノーファウル」だったのではないか?
そのシーンがDAZNのコンテンツ「Jリーグジャッジリプレイ」で取り上げられ、Jリーグの原博実副理事長は「ノーファウルじゃないかな」と私見を語り、そのうえで日本サッカー協会(JFA)の上川徹トップレフェリーグループシニアマネジャーが詳しく解説をした。
まず、広島の選手たちが抗議をしていた、郷家がオフサイドかどうかは微妙なところ。イニエスタが意外なタイミングで正確なスルーパスを放ったこともあるが、映像で振り返っても明確には分からない。それぐらい絶妙であり、審判団の判断は間違っていなかったと言えた。
一方、宮原の郷家に対するコンタクトだが、原副理事長は「イニエスタのパスに、みんながあっと驚いたけれど、宮原もよく戻り、上手くカバーしたと思う」と、宮原の動き直しからのボール奪取はファウルではなかったのではないかと語った。
そこで上川氏は次のように説明した。
「宮原選手の足の出し方が、体ではなく足だけを先に入れている。足を相手のほうへ先に入れて、ボールに触れる前、先に相手選手にコンタクトに行っている。そのあとにボールに触れた、という判断だったと思います」
つまり、伸ばした足で相手を止めてからボールを奪っている、ということでファウルを取ったというのだ。そう言われてみれば、なるほど、と感じる。
しかし原副理事長は「郷家は自分から右で蹴るために少しボールを離してしまっている。郷家のプレーディスタンスとは言えないところへ、ちょっとボールが離れた。その瞬間を見逃さず、宮原はボールに行っていると思う」と説明。上川氏も「確かにボールを奪い合う時にコンタクトが生じるのがサッカー。映像で見る限りだと、ボールには触れているのも間違いないです」とも語った。
むしろ一瞬の隙を確実に仕留める宮原が持ち味を発揮した――。この判定は少し厳しかったのではないかということで議論をまとめた。
結果的に神戸が2本のPKを決めるなど5-3で計8ゴールが飛び交った。審判団の判定が、少なからずその大量点と絡んでしまうケースになってしまった。
文:サカノワ編集グループ