【札幌】土壇場PK失敗と選手交代ドタバタ、ミシャ体調不良で記者会見欠席
ペトロヴィッチ監督。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
最後にルーカス・フェルナンデスのPKを止められ、名古屋とスコアレスドロー。
[J1 13節] 札幌 0-0 名古屋/2020年8月29日/札幌ドーム
北海道コンサドーレ札幌のペトロヴィッチ監督(愛称、ミシャ)が名古屋グランパス戦で指揮を執ったものの試合後の記者会見を「体調不良」により欠席し、代わって四方田修平コーチが応じた。ラストプレーのPK失敗と選手交代を巡るドタバタ劇……チーム内にわだかまりが残らなければいいが。
90+4分、右サイドをえぐったルーカス・フェルナンデスと競り合った相馬勇紀の手にボールが触れて、西村雄一主審はハンドのファウルを取り札幌にPKを与える。再三にわたってサイドを切り崩していたルーカス・フェルナンデスがついに掴んだビッグチャンスだった。
これまでキッカーを務めていた鈴木武蔵はこの夏、ベルギーに移籍している。今季2ゴールを決めているルーカス・フェルナンデスは周りを一切見ず、自らボールをペナルティマークにセット。そこにジェイが行って何か話し掛けるが、肩を叩いてキッカー役を委ねる。ただ、その後、ジェイは何度かベンチとピッチを確認して、ベンチに向けて「OK」のサインを送る。
すると、このタイミングで2枚替えの選手交代が行われる。
菅大輝から金古拓郎、チャナティップから進藤亮佑に。ただ、進藤の交代には時間がかかった。どうやらルーカス・フェルナンデスと代わる予定だったが、この状況からチャナティップに変更された。
時間を使いたかった、カウンター対策をしておきたかった……など考えられるが、このタイミングでの交代が必要だったのかどうか。蹴る気満々だったルーカス・フェルナンデスはここでベンチを見ていて、結果的に集中を散らす結果となったとも言えた。
そして2分を経た90+6分、ルーカス・フェルナンデスはゴール正面へのグラウンダーのキックを選択。これを名古屋の守護神、オーストラリア代表GKランゲラックに止められてしまう。
ボールは大きく蹴り出され、最後にGK菅野孝憲がフィードを放ったところで試合終了に。
これで札幌は2分4敗と6試合連続で勝ち星なしに。7月12日の湘南ベルマーレ戦(△0-0)以来9試合ぶりに無失点に抑えたが、勝点3を最後の最後に取りこぼした形に……。
ルーカス・フェルナンデスが交代を拒否したのか、気付いていなかったのか。キッカーについてはどのように決められているのか。ランゲラックの軸足を最後まで残したスーパーセーブは見事だったが、最後のドタバタに札幌の現状が象徴されていたとも言えた。
Jリーグ公式サイトによると、四方田コーチは「PKになる前に交代を決めていたルーカスがキッカーになっていたのでワタワタとした。結果、外したのは残念だが、誰も責めないと思う」と語っている。
昨年のルヴァンカップ決勝でも、タイトルを目の前にしてペトロヴィッチ監督の采配は詰めを欠いた。奇しくも9月2日は札幌厚別でルヴァンカップ準々決勝の横浜F・マリノス戦だ。
“サッカーを楽しむこと”を最優先に基礎を築き選手個々とチーム全体の底上げをする手腕は卓越したミシャだが、いざという時に勝利に徹することができるか。
2か月後に63歳になる指揮官の体調は気になるところだ。水曜日、札幌が一丸となって戦えるか。ミシャの笑顔はあるのか。札幌の力が試されている。
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[文:サカノワ編集グループ]