JリーグとNPB新型コロナ対策会議。観客増へ対応協議「交通機関、飲食店との連携重要」
国立競技場。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
これまでプロ野球で、観客一人から感染報告。
JリーグとNPB(プロ野球)の合同による第15回新型コロナウイルス対策連絡会議が9月7日にオンラインで行われ、現在、会場の半分または5000人以下の少ないほうで開催されている観客動員数の制限について、政府に緩和を求める要望書を共同で8日にも提出する方針が示された。それに伴い、緩和後の対策についても協議され、スタジアム内のみならず、交通機関、周辺施設など地域・圏域一帯の連携も一段と重要になることが確認された。
Jリーグ、プロ野球ともに政府の方針により、9月30日まで、実質5000人以下での開催を続けている。一方、全国的に感染症の患者数は抑制されつつあり、経済活動も広がりつつあるなか、クラブチーム・球団は深刻な経営を余儀なくされている。
その社会状況下、来年の東京オリンピック開催を見据えたうえでも、観客動員の増加へ段階を踏む時期に差し掛かっているのではないかと、両団体が共同で要望書を提出する考えを示した。
また、これまで試合観戦から48時間以内の感染は、NPBで1件確認されていると報告があった。感染が分かった本人から球団に直接連絡があったもので、その後の保健所の調査で濃厚接触者はおらず、クラスターの発生はなかった。Jリーグでは、これまで報告は挙がっていない(保健所からの濃厚接触者の特定依頼などを含め)。
さらに、観客動員を次段階のスタジアム集客率の「半数以下」に増やした場合、スタジアム内での感染対策の強化のみならず、電車などのアクセス、周辺の遊興施設、飲食店など地域一体での対策が改めて重要になるという説明があった。
東邦大学の舘田一博教授は「観客の数を増やすと、競技場内のみならず、行き帰りの交通機関、そのあとの打ち上げ、そういったリスクも高まると会議で確認しました。プロ野球とJリーグ、交通機関あるいは周りの飲食店などと連携し、そのリスクを減らしていくような、そういった対策も取っていかなければいけないという話し合いが行われました」と報告した。
また、東北大学大学院の賀来満夫教授は次のように、東京五輪につなげるための対策として、「リスクの数値化」を進めたい意向を示した。
「一般的に人数が増えれば感染リスクは高まるものですが、観客数が5000人、1万人、2万人ではどう(感染リスクが)違ってくるのか。そのあたりをしっかり出していく必要はあると思います。来年のオリンピックに向けても、大規模イベントの際のリスクを数値化できないかと専門家とコンタクトを取り準備を進めています」
具体的に観客数をどれぐらい増やしたいかについて、Jリーグの村井満チェアマンは「(次段階では)会場の50パーセントが上限で、そのパーセントをどのように下に刻んでいくかの議論、または特定のパーセンテージにあたるような絶対人数を置くこともあるかもしれませんが、いずれにせよ詳細はこれからの議論だと思います」と語った。
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[取材・文:塚越始]