森保采配と濃霧で“消えた”久保建英、欧州カップ戦の勢いを日本代表に持ち込めず
メキシコ戦に出場した日本代表の久保建英。(C)JFA/写真:日本サッカー協会
国際Aマッチ、いまだ無得点。メキシコ戦は途中出場、不慣れな左MFでまたも力を発揮できず。
日本代表の久保建英はメキシコ代表戦、72分に原口元気と代わって投入され、そのまま左MFでプレーした。しかし周囲と連動する機会は限られ、国際Aマッチ初ゴールはまたもお預けとなった。
コートジボワール戦(〇1-0)に続き、日本の4-2-3-1では左MFで起用された。先日の先発したパナマ代表戦(〇1-0)でも、3-4-2-1の左シャドーに入っていた。
レフティの久保はこれまでFC東京、RCDマジョルカ、世代別の日本代表では、「右MF」で結果を残してきた。そして今季所属するRCDマジョルカでは、ウナイ・エメリ監督が複数のポジションでチャンスを与え、その中で何度か左MFでも出場してきた。
ただ「右サイドが一番プレーしやすそうだ」とエメリ監督も認識している。それでも「左」でプレーすることを求めるのは、タレントが揃うチーム内の争いの中で、生き残っていくために、ということだった。とはいえ、スペインリーグではなかなか結果を残せず苦心を続けている。
森保監督も、久保がビジャレアルで左サイドで苦しんでいることは把握しているはずだ。しかし、あえて日本代表でも、その左サイドで起用し続けている。
とはいえ強豪のメキシコを相手にした“テスト起用”は通じるはずもなく、案の定、不発に終わった。
森保監督は試合後、次のように振り返った。
「選手たちは局面を打開しようとアグレッシブに、勇気を持ってボールに関わりながら攻撃を仕掛け、チャンスを作っていました。負けた悔しさはありますが、試合内容的には、勝って終われるだけのチャンスは作れていました。継続して長い時間、より数多くのチャンスを作れるように、自信を持てるチームにしていきたいです」
前半から一転して後半、久保らを投入したものの、チームはいいところを見せられなかった。
「反省しなければいけないところは、攻撃でも守備でもあると思います。チームの戦い方として、長い時間、強度の高いなかでやっていけるように、個の能力を上げていく部分をやっていければと思います」
そして後半の選手交代策について、指揮官は次のように意図を説明した。
「流れの中で攻撃のギアを上げていけるように、カードを切っていきました。試合の強度が高く、交代選手にはチームを活性化してもらうように枠を使いました。残念ながら得点は奪えず勝てませんでしたが、選手たちは途中で足を止めることなく、最後まで戦い続けてくれたと思います。負けたショックはあると思いますが、そこから反発力を持って、成長につなげてほしいです」
チームの強度を保ちながら反撃を試みた。しかし敵わなかった――。むしろ、この敗戦をバネにしてほしいということだった。
「強度の高さを保つことにトライしていきたいと思います。ただ守るだけで勝てるとは思いませんし、世界の舞台で勝っていくためには、相手の高い強度をかいくぐりチャンスを作るところを、これからもやっていきたいと思います」
19歳の久保は今季、ヨーロッパリーグ(EL)で3試合に先発し、1得点・3アシストを記録している。得点とアシストは、トップ下と右MFで記録したものだ。
日本では数少ない欧州のステージで結果を残している選手の一人であった。しかし、その勢いを日本代表にもたらすことはできなかった。
濃霧のなか、久保は画面にもなかなか映らず“消えていた”。左サイドだと孤立しがちになる。もしも、右サイドやトップ下で起用されていれば……。悔やまれる采配となった。
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[文:サカノワ編集グループ]