「僕は驚かない。阿部勇樹を知っているから」佐藤寿人が17歳デビュー菅原由勢の”喧噪”にちょっと一言
名古屋で2シーズン目を迎える佐藤寿人。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
[J1 3節] 湘南 0-0 名古屋/2018年3月11日/Shonan BMW スタジアム平塚
3節の湘南戦で先発した名古屋4バックの日本人選手は、秋山陽平が22歳、宮原和也が21歳、菅原由勢(ゆきなり)が17歳という若さだった。その中でも名古屋U18に所属する高校2年生で、2種登録にてトップに帯同する菅原は開幕からリーグ全3試合にフル出場中。無敗のチームを支えている。
17歳での開幕デビューはチーム最年少。東京五輪世代にもあたり、菅原の注目度は一気に増している。ただ、そんな喧噪に「皆さんは驚かれると思いますが、僕は驚かない」と言っていたのが、プロ19年目を迎える名古屋のチームメイトである35歳の佐藤寿人だ。
佐藤は菅原について、「すごく良い選手。もっともっといろんなものを吸収していけば、成長できる」と期待する。ただし――「もちろん、すごいですけれど」と佐藤は続ける。
「僕は同い年で阿部勇樹を見てきました。だから、(17歳で試合に出ることが)何もそこまで凄いことではないぞ、と」
ジェフ市原ユースに所属していた阿部勇樹(現・浦和レッズ)は16歳でJデビューし、翌年にはトップに合流して17歳から不動のレギュラーの座についた。高校卒業後に昇格した佐藤よりも実に4年早くトップデビューし、常に世代別や日本代表の第一線で活躍してきた。そんな姿に触発され、佐藤も進化を遂げてきた。
佐藤は時代背景についても触れる。
「当時のJリーグは16チームのみで(※J2はなかった)、そのなかで阿部ちゃんは年間30試合すべてに出ていましたからね」
佐藤と阿部。ともに現役として、今なお現役で貴重な戦力としてプレーを続ける(寿人の双子の兄、勇人も千葉に在籍)。佐藤は「ずっと中学(市原ジュニアユース)からやってきた阿部勇樹が、そうやって試合に出ていたわけです。みんなは(菅原を)驚くかもしれないけど、僕には驚きではない。そんな話を、この間、阿部ちゃん本人にも言いました(笑)」と明かした。
新助っ人のブラジル人DFホーシャ(28歳)が湘南戦の途中に足を傷めて交代したのは気掛かりで、菅原にはチームを支え続けていくタフさも求めらていく。そしてクレバーかつ強靭なフィジカルを武器にする点は阿部勇樹と共通する点でもある。菅原がJの歴戦の戦士である佐藤を唸らせるほどになり……日本を背負うディフェンダーに成長にしていけるのか、見守っていきたい。とても楽しみな逸材だ。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI