ロシアのAFC(アジア)加盟問題、「日本と豪州は議論すら嫌った」。2023年の転籍は“なし”
日本代表のサポーター。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
結局、現段階でのUEFAからの転籍は見送られた。ただし、もしも両国が反対していたとしても――。
ロシア(ロシアサッカー協会、RFU)は12月31日、AFC(アジアサッカー連盟)への転籍について検討してきたものの、当面AFCには申請しない方針を固めた。そもそも実現するためには、まずFIFA(国際サッカー連盟)との協議が先決であり、さらにUEFA(欧州サッカー連盟)、AFCとの加盟手続きに向けた話し合いも必要なため。そもそも本当にAFC加盟がプラスになるのか、という議論も深くされていなかったという。
そのため、ロシア協会はワーキンググループを発足させ、「国際大会に出場できるようになる」という目標を定め、3か月かけてロードマップを策定。UEFAのシーズン移行期前に、課題を洗い出して解決へ向かう。
ロシアメディア『カンピオナート』はこの問題について、様々な観点からのレポートを掲載してきた。
規約上ではAFCへの加盟は、47国による投票で過半数が認められればよいということだ。そのためロシア協会は、君主制の多い中東勢、そして中国などが支持すると見込んでいた。
一方、アメリカと同盟国である日本、そしてオーストラリアについて、「特に日本とオーストラリアは、ロシアのAFCへの転籍を巡る議論すら嫌っていた」と報じている。しかし「両国が反対しても、投票で過半数は認められるはずだった」と見込んでいた。
とはいえAFC入りの話が飛び出したのは、ウクライナ侵攻によりロシア代表の各カテゴリーが国際大会に出場できずにいるなか、「UEFAでプレーできない以上、アジアに加わってでも、プレーできるならば、そのほうがまだいい」という短絡的なもの。しかし、そもそもAFCは、現在ロシアが国際スポーツイベントへの出場が禁止されている問題で、それを解決する中核的な役割を担っていないという指摘もあった。ロシア協会の担当弁護士は、まずFIFAであり、そしてIOC(国際オリンピック委員会)との話し合いが重要で、国際舞台への参加を認められることこそが優先されるべきだと説明している。
いずれにせよUEFA脱退の期限だった12月31日を超えたため、2023年のAFC入りはなくなった。
また、もしも最短でAFC入りが認められていたとしても、国際大会に復帰できるのは2024年秋になる。そして2026年の北米三か国ワールドカップ出場を目指す場合、予選開始がAFCは2023年10月、UEFAは2025年3月になるため、「ヨーロッパ残留」に懸けてもいいのではないかという声も強い。
アーセナルFCでも活躍した元ロシア代表のアンドレイ・アルシャビンら元スター選手も、UEFA脱退に反対している。