森保一監督が掲げた新生・日本代表のチーム作り「3大コンセプト」
(左から)関塚技術委員長、森保一監督、田嶋幸三会長。(C)SAKANOWA
「世代間の融合」「対応力と臨機応変さ」「最強最高のスタッフ」
日本代表の新監督に森保一氏が就任し、7月26日に都内で就任記者会見を行った。2020年に開催される東京五輪日本代表監督(現U-21日本代表)との兼任で、2022年のワールドカップ(W杯)カタール大会を目指す。
記者会見で語られた内容から浮かび上がる、「森保ジャパン」のチーム作りの3つのコンセプトを紐解く。
森保監督が強調していたのが、「日本人のメンタリティ、身体能力を生かしたチームづくりをすることが大切。一体感があり常に攻守に連動して戦うこと、そこはチーム作りとして絶対重視したい」という点だった。
そのチーム編成について、「世代交代は大事だが、年代間の融合をうまく図りつつ、新しい日本代表を作っていきたい」と説明していた。徐々に若い選手たちを取り込んでいきたいが、あくまでも競争重視。当面はA代表とオリンピック本番まで予選が免除される東京五輪代表の両チームに戦術を浸透させながら刺激を与え、ラージグループ(大枠)でレベルを高め合う形を取っていくことになる。
また、戦い方で大事にしたいというのが、「対応力と臨機応変さ」だ。
「速攻も遅攻もできること。守備ではハイプレスも、自陣でしっかり固め相手の思ったような攻撃をさせないこともしていきたい。いろんな対応力を持ち、臨機応変に流れを掴む。選手が判断して選択できるサッカーをしていく」
森保監督はそう語っていた。W杯ロシア大会で優勝したフランス代表を参考に、状況に応じた多くの選択肢から個々であり、チームとして判断していけるチームを目指すという。
では、どういった体制で戦っていくのか? そのあたりは就任直後とあって森保監督も大まかな”ビジョン”を描いている段階のようだ。9月のキリンチャレンジカップ2連戦は、東京五輪代表チームのスタッフで臨み、次第に「最強最高のスタッフ編成をしたい」と語った。
「9月のキリンチャレンジカップは東京五輪代表に関わるスタッフで臨み、プラスアルファが必要であれば、(関塚隆)技術委員長と相談して決めたい。A代表のスタッフは、現在フリーの方、就いている方を含めて焦ることなく、最強最高の編成になるように考えて取り組みたい」
森保ジャパンの”デビュー”は、9月7日の札幌でのチリ戦、そして11日の大阪でのコスタリカ戦になる。8月14日からは東京五輪代表チーム(U-21)を率いてジャカルタでのアジア大会にも臨む。「東京五輪代表だけでも重責で、(兼任は)自分にできるのかなとも思ったが、これが日本サッカー界発展のために必ずつながると思い引き受けた。しかし、一人でやるのは不可能。日本サッカーを支える方々に力を貸してもらえれば必ずやっていける」と、新指揮官はまさに”全員サッカー”で世界に挑んでいくことを誓った。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI