【なでしこジャパン】左肩の手術を乗り越えた浜野まいか、次期アメリカ代表監督のもとチェルシーで一歩ずつ進化を遂げる
なでしこジャパンの浜野まいか。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
強度は…「外れた左肩が健康な右肩を追い抜いちゃったんです」。
なでしこジャパンの“切り札”として期待されるのが、来月20歳になる浜野まいか(チェルシーFC)だ。
16歳でなでしこジャパンの候補選手に選ばれた逸材は、「本気で狙っていた」東京オリンピック入りを逃したのをバネに、2022年のU-20女子ワールドカップ(U-20女子W杯)でハイパフォーマンスを見せて大会MVPを獲得した。ただ昨夏の女子W杯では最年少で日本代表入りしたが、直前に現地で左肩を脱臼し、チームに貢献できなかった。
浜野はそのあと、手術を受ける決断を下した。
「手術を受けるかどうか、50パーセントずつでした。でも手術を受けなかったら絶対にまた外れると思いました」
メスを入れるリスク以上に、再発への不安を払拭することを優先させた。肩の強度を示す数値は、右肩を100パーセントにすると、左肩は2か月後に70パーセントだったが、3か月後には120パーセントに達したそうだ。
「外れた左肩が健康な右肩を追い抜いちゃったんです」と浜野は笑う。
なでしこの新たなパワーとなっている彼女は、スウェーデンのハンマルビーIFから所属元のチェルシーへ復帰。現在はU-21のチームに在籍している。
「(ハンマルビーの)チームメイトと離れるのは寂しかったですが、サッカーができないことが初めてだったからストレスが溜まりました。左肩をずっとつるしている状態で生活も難しくて。でも右肩でなくてよかったですけれど」
浜野は苦労した時期を明るく振り返る。
またチェルシーでは、5月にアメリカ女子代表監督就任が発表されているエマ・ヘイズ監督とたくさんコミュニケーションを取り、たくさんの刺激を受けたそうだ。
「本当に学びがたくさんあり最高の監督でした。この前言われたのはメンタル面。ミスをしたり、悪いプレーが続いている時の気持ちの切り替えスイッチを入れるのが自分はまだ難しくて。そのミスを飲み込み、自分で消化する消化力が必要だと言われました。『お腹でグッとこらえて、(外に)バッっと出して、次に行かないといけない』って。すごく分かりやすかった(笑)。学びまくろうと思っています」
パリ五輪へのアピールの場となるこの強豪4か国によるShe Blieves Cup、浜野は「もう見せるしかないですよね。見せて(それを)感じてほしいです!」と結果にこだわる。
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会場となるアトランタでもトレーニングウェアをパンツインするいつもの姿の浜野ではあるが、漲る覇気は相当だ。女王の座奪還に燃えるアメリカ戦で出場チャンスが巡ってきた時、この19歳のアタッカーがどのようなパフォーマンスを見せてくれるのかとても楽しみだ。
取材・文・写真/早草紀子
text and photos by Noriko HAYAKUSA