×

【浦和】ノルウェーと同様の課題…ヘグモ監督が日本サッカー界へ提言「安定して強いチームを作るべき」

浦和の伊藤敦樹。(C)2023 Asian Football Confederation (AFC)

「多くの若手がスカンジナビアからヨーロッパ中に移籍していますが、出場機会を得られない選手も多くいます」

[J1 28節]浦和 – 川崎/2024年8月24日19:00/埼玉スタジアム2002

 J1リーグ浦和レッズのペア=マティアス・ヘグモ監督が8月23日、オンラインの記者会見に応じて、翌日に埼スタで行われる川崎フロンターレ戦に向けて意欲を示した。

 このなかで、日本の夏の移籍マーケットが21日に終了したのを踏まえ、初めて経験したJリーグの移籍期間について問われ、指揮官はこうして夏に大移動が起きたことに少なからず戸惑ったと明かした。

「夏のマーケットでの日本人選手の獲得は基本的に難しいと聞いていて、そのなかでのチャレンジでもありました。Jリーグにとっても、日本サッカー協会にとっても、選手にとっても、仲介人にとっても、現在ヨーロッパへの移籍は重要なことだと理解しています」

 確かに、アンジェ・ポステコグルー監督が率いていた時代のセルティックFCのように、むしろ冬のタイミングで引き抜きやすい、という印象だったJリーグだが、今年は夏のヨーロッパへの移籍が一段と進んだ(一方、復帰組も多かった)。

 そのうえでノルウェー代表監督も務めているヘグモ監督は、現在アーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)、マルティン・ウーデゴール(アーセナルFC)らスーパースターを輩出するノルウェーでも、様々な議論が起きてきたと語る。

「90年代後半、ノルウェーでは似たような議論がありました。30人近いノルウェーの選手がプレミアリーグでプレーしていました。さらに2000年代からは、多くの若手がスカンジナビアからヨーロッパ中に移籍していますが、出場機会を得られない選手も多くいます」

 近年日本人の若手でも増えつつあるが、ビッグクラブを中心とした”青田買い”が進み、そこで出場機会を得られない――という状況が顕著だという。

「選手の移籍に関して、クラブはもちろん、代表チームのことも、しっかり考えなければいけません。どのようなタレントであり、どのようなクラブに行くべきか、議論すべきところだと思います。私が代表チームの監督を務めた時、できるだけ多くの選手が海外のトップクラブに行く方が望ましく思えました。ノルウェー協会のスポーツダイレクターも務めた際は、ノルウェー代表とクラブ、両方にいい結果が出るように思案しました。

 それはJリーグでも大事なところだと思います。まず安定して強いクラブを作ることが必要です。しかしそれを作ると同時に、ベストプレーヤーを例えばプレミアリーグやブンデスリーガでプレーしてもらうことも必要だと思います。その両方を実行するためには、国レベルの政策も重要だと思います」

 そのように、大きな枠組みでの議論の必要性を訴えていた。

 また、この夏の移籍全般について。ヘグモ監督は昨季までのレギュラー11人のうち7人が退団したが、「全体的にはあまり驚きはなかった」と語った。

「敦樹の移籍などありましたが、全体的にあまり驚きはありませんでした。ただ昨シーズンのレギュラー11人のうち7人が移籍しました。それは新たな選手が自分を見せるチャンスでもあります。このタイミングでケガ人が戻ってきているのは良い出来事で、新たに獲得した選手が試合に絡んでいることも良いです。クラブとしてはいつでも、選手が移籍すればどのように補完するのか、その準備が大事だと思います」

関連記事>>【浦和】ヘグモ監督が試合2日前を「オフ」にした理由を明かす。24日、埼スタで川崎戦!

 ヘグモ監督はそう気丈に話した。ただやはり伊藤の離脱は痛く、しかしそれをチームの新たなパワーにしていきたいという思いが伝わってきた。

Posted by 塚越始

Ads

Ads