【FC東京】「今日は大丈夫か?」久保建英が長谷川監督の不安を払拭したターニングポイント
久保建英。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
立ち上がりのミスから一転してチャンスへつなげた「30秒」。
[J1 14節] FC東京 3-1 大分/2019年6月1日/味の素スタジアム
FC東京のMF久保建英が大分トリニータ戦、相手の股下を通す鋭いシュートとインターセプトからのトドメのショットと自身J1初の1試合2ゴールで、チームを3-1の勝利に導いた。2位の川崎フロンターレとは勝点6差の首位快走。久保自身はJ1通算4ゴールに伸ばし、このあとキリンチャレンジカップとコパ・アメリカ(南米選手権)を戦う日本代表へ合流する。
長谷川健太監督は試合後の記者会見、久保のパフォーマンスについて次のように語った。
「試合開始直後に一度相手にボールを奪われて、『今日は大丈夫かな?』と思いましたが、そのあとドリブルで仕掛け、だいぶ吹っ切れました」
試合開始1分15秒。敵陣左サイドで久保がマッチアップを仕掛けてボールを失うと、パスをテンポよくつなぐ大分のカウンターが発動。エースの藤本憲明にペナルティエリア内まで進入されてピンチになった。
しかし、FC東京守備陣が身を挺して対応し、藤本をエリア外に追い出す。するとバイタルエリアまで帰陣していた久保がボール奪取に成功。
今度は一転、FC東京の15番がディエゴ・オリヴェイラとのワンツーから、たちまち大分ゴール前までボールを持ち運んでチャンスを作り出す。最後は再び駆け上がったディエゴ・オリヴェイラへの技ありのパスを放ち、決定機をもたらした。
ピンチを帳消しにし、逆にチャンスにつなげてみせる。チームとプレーに対する大きな責任感を感じさせる「約30秒」だった。
そして終わってみれば、2試合連続でのフル出場。シュート2本で2ゴールを奪った。そんな久保を長谷川監督は「仕掛ける姿勢やボールを触る回数も多く、最後まで自分のリズムでプレーをしてくれました。シュートの技術の高さはさすが。1点目は難しい状況から決め切り、2点目も落ち着いて流し込んでくれました」と称賛した。
「サポーターって、本当に力になりますね」。久保はヒーローインタビューでそのようにゴール裏を見つめて語った。このあと初招集された日本代表の活動に合流。6月4日に18歳の誕生日を迎え、5日に豊田スタジアムでのトリニダード・トバゴ戦、9日にひとめぼれスタジアム宮城でのエルサルバドル戦に臨む(その後、コパ・アメリカへ参戦)。
久保にとっては昨年のU-19アジア選手権以来の国際舞台だ。先輩たちからたくさんのことを吸収しながら、どのように進化を遂げていくのか――。久保のもう一つの楽しみな戦いが始まる。
文:サカノワ編集グループ