「阿部ちゃんに感謝している」奈良竜樹が鹿島との総力戦で思った川崎の強み
川崎フロンターレの奈良竜樹。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
5試合連続フル出場で負けなし、3度目の無失点。
[J1 29節] 鹿島 0-0 川崎/2018年10月7日/県立カシマサッカースタジアム
J1首位の川崎フロンターレは3位の鹿島アントラーズとの一戦をスコアレスドローに終え、勝点1を積み上げた。前日に2位のサンフレッチェ広島が柏レイソルに敗れていただけに一歩前進できた。
気温29.1度という真夏日に迫る暑さが、両チームの選手を苦しめた。そのなかでセンターバックの奈良竜樹はセルジーニョ&鈴木優磨という鹿島の好調な2トップに90分間決定的な仕事をさせず、無失点に抑えてみせた。
「この暑さやピッチなど、川崎はコンディションに結果が左右することが多いですが、全員で意思統一して、守るべきときは全員で守り、隙があればゴールを狙いに行くことができました。後半も守備一辺倒になったわけではなかった。向こうが出てきたところでのカウンターやセットプレーで1点取れれば良かったですけれど、(勝点1は)悪い結果ではなかったと思います」
決して満足はしていない。しかし納得はしている。奈良の淡々とした口調からはそんな印象が感じ取れた。
「鹿島さんは一瞬の隙を突くのが本当に上手いチーム。オニさん(鬼木監督)からそういったことを言われて臨みました。上に行くチームはそういった隙を見せないことが大切。集中力が切れそうなときでも全員で声を掛け合い、時に激しく、ファウルになるシーンもありましたが、常にテンションを保ち続けられたと思います」
そのように奈良は鹿島相手に隙を与えず守り切れたことを、この日の収穫に挙げていた。そして89分、カウンターから抜け出した土居聖真を退場覚悟(すでに1枚イエローカードを受けていた)で止めた阿部浩之のプレーには頭を下げた。
「阿部ちゃんのイエローをもらったシーンも、チームのために犠牲になってくれたことに感謝しています」
国際Aマッチウィークを挟み、次節は10月20日のホームでのヴィッセル神戸戦になる。2週間のインターバルを挟むが、阿部はその試合で出場停止。さらに試合中に負傷した小林悠も、左足首の外側靭帯損傷で全治約2週間と診断された。J1連覇に向けて、総力戦は続く。そして乗り切れるだけの力はあると感じている。
その中で奈良はスタメンの座を再び掴んだ26節のコンサドーレ札幌戦(〇7-0)以降、5試合連続フル出場中だ。その間、チームは3勝2分と無敗で、無失点試合が3度、そして失点も1点が二度。チームとともに進化を遂げている奈良の力が、ここから一段と必要とされていく。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI