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活躍の前兆?北朝鮮戦のハーフタイム、久保建英が誰よりも先にピッチに戻った理由

U-19日本代表対U-19北朝鮮戦、ゴールを決めた久保がベンチに駆け込み歓喜の輪が出来上がる。(C)AFC

センターサークル付近で主審と何やら話していたのは…。

[U-19アジア選手権] U-19日本代表 5-2 U-19北朝鮮代表/2018年10月19日/パカンサリ(インドネシア)

 U-19日本代表の久保建英が北朝鮮戦の65分に目の覚めるような直接FK弾を叩き込み、その一撃が試合の分水嶺となってチームに5-2の勝利をもたらした。

 久保の左足から3ゴールが生まれた。

 スペースを巧みに攻略して斉藤光毅の先制点をアシストし、3枚の壁を越える決勝のFKを突き刺し、さらに4点目の宮代大聖のゴールの起点にもなった。一時は2-2の同点とされる撃ち合いのなか、プレーの総合力の高さを示すようにあらゆる形から結果をもたらした。

 この試合のハーフタイムを終えて、久保は両チームの誰よりも先にピッチに戻っていた。

 センターサークルで入念にストレッチをしながら、みんなが戻ってくるのを待った。が、それでも出てこない。

 久保はすぐそばにいた主審に何やら話しかけて、コミュニケーションを取っていた。

 久保はその束の間のシーンの”真相”を明かす。

「後ろからみんなが付いてきて来てくれると思ったら、誰もいなくって。そのあと主審とは、(北朝鮮の)3番の選手にマークに付かれて、ちょっとファウルを取ってくれないかなと思い、少しだけ『けっこう(激しく)来ています』というようなことを言いました」

 ハーフタイムのドレッシングルームでは、U-19日本代表の影山雅永監督から選手たちに「後半、試合を壊さず、攻撃と守備をもう一度やり直そう」とゲキが飛んだという。そのあと久保は自らのリズムでピッチに戻り、後半の試合に入っていった。

 いつの間にか、そのようにして久保のための舞台が整っていったのかもしれない。

 可能性を秘め粗さのあるU-19日本代表だが、アタッカー陣が爆発しての5ゴールスタート。課題が出たことを含めて幸先良いスタートを切った日本のなかで、17歳の久保がさっそく珠玉の輝きを放った。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI