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【U19代表秘話】決勝に向け調整していた郷家友太「みんなに感謝しかない」

U-19日本代表として戦った郷家友太(14番)。5番は菅原由勢、8番は藤本寛也。(C)AFC

11月2日の完全合流へ「万全な状態にしていた」。今週末の鳥栖戦、田川亨介との”競演”なるか。

 インドネシアU-19アジア選手権に臨んだU-19日本代表の郷家友太は、グループステージ1、2節で右MFとして先発して2連勝を収め、早々に1位突破での決勝トーナメント進出を確定させることに貢献した。

 ただ2節のタイ戦のあとに左足にやや違和感を覚え、その後は別メニュー調整を続けていた。スタッフと話し合った結果、11月4日の決勝戦に間に合わせる――という目標を立てて取り組んできた。

 加えて郷家がチームにいることで、対戦国はスカウティングもしてくる。彼が日本のベンチに座っているだけで、いつか出てくるのか? 先発もあるのか? と、その後の3試合も「戦力」になっていた。

 しかし、日本は11月1日の準決勝サウジアラビア戦で0-2と敗れてしまった。郷家の復帰プランは叶わなかったのだ。

 郷家は11月3日の帰国直前、率直な想いを語ってくれた。

「負けることはもちろん悔しいですけれど、僕にとっても、まだまだ世界では通用しないのだと気付かされる大会になりました」

 11月2日の全体練習への合流に向け、「もう万全な状態を整えていました」。そのあたりはさすがである。プロフェッショナリズムを感じさせる。

 それだけに準決勝敗退は悔しいのでは……と聞くと、郷家はむしろこのあとに待ち受けている”戦い”をさっそく楽しみにしていた。

「大会は終わってしまったので、ここからです。今日(11月3日)ヴィッセルが勝って(31 節名古屋戦/〇2-1)、次は鳥栖戦(32節11月10日/H)です。(U-19日本代表の)田川くんと再会し、競演できたらいいですね。クラブで頑張って、また次の代表の遠征に呼ばれるようにアピールしていきます」

 サウジアラビア戦の直後、郷家が戦いを終えてうなだれる選手たちを励ましながら出迎えていたのが印象的だった。落ち込みの激しい選手にほど笑いかけて、よくやったよと声を掛けていた。

「胸を張って帰れるよと。下を向くような恥ずかしい試合をしたわけではありません。試合直後とあって、みんな落ち込んでいましたけれど、5月のU-20ワールドカップ(W杯)本大会へ、顔を上げて向かっていこうよと。何よりこのアジア予選を突破してくれたみんなに、僕からは感謝の想いしかありません。『有難う』という気持ちでいっぱいでした」

 そんな郷家がいたからこそ、日本はU-20W杯の出場権を獲得できたのだなと思わされる。改めてU-19日本代表の23人とスタッフのうち、一人でも欠けていたら、「チーム」は成り立たなかったのだと思わされた。

 そして舞台はJリーグへ――。予断は許さないものの、神戸はあと1勝できればJ1残留が確定的になる。

「リージョ新監督のもとで少し練習できたあと、代表に合流しました。これからサッカーの理解を深め、しっかりコミュニケーションをとっていきます。J1残留を一日も早く確定させて、このあと3連勝で終わらせます」

 その表情はむしろ充実感に溢れている。インドネシアの過酷な戦いを経て心身ともに逞しさを増した郷家が、神戸に帰還する。きっと大きなパワーをもたらしてくれるはずだ。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI