東野圭吾さん逝去、大腸がん…50代・60代の予防法とは?「生涯4000万円の資産防衛にも」

(C)SAKANOWA

人気医師YouTubeが反響。「ほぼ防げる」が意味するもの――。

 7月28日に68歳で亡くなった作家・東野圭吾さんの訃報を受け、YouTubeチャンネル「がん防災チャンネル・現役がん治療医・押川勝太郎」が同日公開した『東野圭吾さんを襲った大腸がんはどのくらい防げる?【専門医解説】有名人がん解説シリーズ』が反響を呼んでいる。

 押川医師は、大腸がんは日本人が最も多く罹患するがんであり、年間15万人以上が新たに診断され、女性ではがん死亡原因の第1位になっていると説明する。一方、「予防できる数少ないがん」であり、適切な検診を受ければ、多くのケースで発症や重症化を防げると強調している。

 大腸がんは、ポリープの段階やステージ0~1で発見できれば5年生存率は94%以上に達する。しかし遠隔転移を伴うステージ4まで進行すると約16%まで低下する。また医療費も大きく異なり、早期治療なら自己負担は10万円以下で済むケースが多い一方、進行がんでは抗がん剤治療などで年間100万円を超える自己負担が発生することもあるという。

 押川医師は「命だけでなく家族や資産にも大きな影響を及ぼす病気」と位置づけ、「50代、60代では検診を受けるかどうかで、生涯約4000万円規模の資産喪失の差につながるという試算もある」と紹介。検診は「コストではなく未来への投資」だと呼び掛けている。

 大腸がん予防の基本は便潜血検査と大腸内視鏡検査(大腸カメラ)だ。便潜血検査は症状のない人を対象にしたスクリーニング検査として国も推奨しており、大腸がんによる死亡率を低下させる十分な科学的根拠があるという。

 ただし最大の問題は、便潜血検査で陽性になっても約3割の人が精密検査を受けていないことだという。陽性者が大腸カメラを受けない場合、大腸がん死亡リスクは約2.8倍に上昇し、進行がんで発見される危険性も高まると説明。「一度でも陽性なら再検査ではなく、大腸内視鏡検査を受けてほしい」と訴えている。

 また、血便や便秘と下痢の繰り返し、便が細くなる、原因不明の貧血、体重減少、排便回数の増加などは、すでに進行がんのサインである可能性があるという。押川医師は「症状が出てからでは検診ではなく受診が必要になる。早期の大腸がんにはほとんど自覚症状がない」と警鐘を鳴らした。

 内視鏡検査に抵抗感を持つ人も少なくないが、現在は腸管洗浄液も飲みやすく改良され、AIによるポリープ検出技術も進歩している。また、CTコロノグラフィーやカプセル内視鏡など代替検査もあるものの、ポリープをその場で切除できるのは大腸内視鏡だけだという。

 押川医師は「大腸がんの98%は前がん病変であるポリープから発生する。前がん病変(ポリープ)の段階で切除できれば、ほぼ100%近く予防できる数少ないがん。しかもポリープ切除による後遺症はほとんどありません」と説明。「40歳を過ぎたら便潜血検査を受け、必要なら大腸カメラで自分の腸の状態を知ってほしい」と呼び掛けている。