【U-19日本代表秘話】歓喜の一幕。谷、大迫、若原…東京五輪代表のGK争いに加わる条件
U-19アジア選手権でトレ―ニングするU-19日本代表の(左から)谷、大迫、若原。(C)SAKANOWA
GK3人が作った歓喜の輪。
U-19日本代表がU-20ワールドカップ(W杯)の出場権を獲得した10月28日、歓喜の輪がいろいろなところで咲いた。若原智哉(京都)もベンチからピッチに飛び出したところ、大迫敬介(広島)に背中を掴まれて、向こう行こうぜ、と合図された。無失点で守り切った谷晃生(G大阪)のところに向かい、3人で歓喜した。
19歳の大迫、18歳の若原がこのチームを支え、守護神の座を争ってきた。しかし今大会、2017年のU-17W杯を戦っている谷が、事実上、このU-19日本代表のポジションの座を掴んだ。
高橋範夫GKコーチと3人のGKによるチーム。グループステージ3節で大迫、そして準決勝のサウジアラビア戦で若原。そのほかの3試合を谷と、全員がU-19アジア選手権のピッチに立った。
とはいえ、もちろん、ライバル関係でもある。それぞれがいろいろな想いを抱き戦い、様々な課題を見出していた。
準々決勝のインドネシア戦で2-0の無失点勝利でU-20ワールドカップ(W杯)の出場権を掴んだ谷は言った。
「ボランチ、FWがプレスをかけて、守備陣が最後に体を張ってくれたので、自分が助けられました。(大観衆でコーチングができなかったのでは?)プレーが切れたときに近寄って話したり、アイコンタクトでできる限りのことはやっていたつもりです。そこで何かエラーが生じたことはなかったです」
そして彼は「来年5月まで一瞬も無駄にできない」と語気を強めた。
3人をはじめU-19世代は、来年ポーランドで開催されるU-20ワールドカップ(W杯)が目標となる。一方、東京五輪を目指すU-21日本代表が11月11日からUAEに遠征を行っている。柏レイソルの滝本晴彦の離脱によって、谷が追加招集された。
189センチ86キロという恵まれた体格で、まだ成長しそうである。そんな彼が一気に飛躍を遂げた。アジア大会などで日本のゴールマウスを守ってきた来季大分トリニータ入りが決まった小島亨介(早稲田大)との争いも始まる。
いずれにせよ、まずJリーグでレギュラーを掴んだ選手が、最も正守護神の座に近づくのは言うまでもない。東京五輪世代に向けたGK争いも、ここから本格化する。
文:サカノワ編集グループ