アジア制覇への一手。大岩監督の采配から浮かぶメッセージ

鹿島アントラーズの大岩剛監督。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

ベンチ含めたメンバー構成、投入選手とも第1戦と同じ。

[ACL 決勝 第2戦] ペルセポリス 0-0 鹿島/2018年11月10日(日本時間11日)/アザディ・スタジアム(テヘラン=イラン)
※2試合トータル、鹿島が2-0で優勝

 鹿島アントラーズが初のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)制覇を成し遂げたペルセポリスとのファイナル2試合、大岩剛監督の微に入り細を穿つマネジメントが浮かび上がる。

 指揮官は2-0の勝利を収めた第1戦から先発とベンチ入りメンバー、いずれもまったく同じ18人でアウェーの一戦に臨んだ。10月31日のリーグ31節セレッソ大阪戦(〇1-0)、11月3日のACLファイナル第1戦、6日のリーグ32節柏レイソル戦(〇3-2)、そして10日に第2戦。そのタイトな日程でケガ人を出さずに、第2戦を迎えられたのは大きかったと言える。

 6日のナイターでの試合を経て、7日夜に成田空港を出発して5時間30分の時差がある8日午前中にイランの首都テヘランに到着。9日の前日練習を挟み、10日には試合という超強行軍を強いられた。

 しかも10万人の大アウェー、日本時間では深夜零時の試合開始、やはりカシマスタジアムとはまるで異なるペルセポリスの選手たちの勇猛果敢な姿勢。しかも相手は国内リーグがなく、1週間のインターバルを空けていた。昌子源も「相手のロングボールが多く、前半のうちに、これはウチが点を取るのは難しいかなと思った」と振り返ったように、チームとしても”耐えて攻める”と意思統一を図り、2点のリードを有効活用する戦いを選んだ。

 大岩監督は68分に土居聖真に代えて、安西幸輝を投入する。第1戦はまさに同じ時間、安部から安西に交代していた。

 サイドハーフが運動量の落ちたのを察知し、安西の馬力を買っての交代。選手たちにとっては、このままのペースでいいぞ、というメッセージにもなったはずだ。

 さらに78分、負傷した鈴木優磨から永木亮太へ。第1戦では80分に土居に代わり永木が2枚目のカードで入っていた。この試合、ある意味、唯一の想定外がこの鈴木の負傷であったとも言える。が、投入の時間は、ほぼ一緒。永木の投入でディフェンスの強度は高まり、「逃げ切り=優勝へのカウントダウン」という一手となった。もちろんセルジーニョを前線に残すことで、一発カウンターという選択肢も残し、相手にプレッシャーを与えることも忘れてはいない。

 そしてアディショナルタイム、安部裕葵から金森健志へ。第1戦でも同じ時間に、セルジーニョから金森を投入していた。

 ロングボールを自由に上げさせず、試合を締める。その役割を金森がまっとうし、やがて優勝決定の瞬間を迎えた――。

 つまり、ACLファイナルの2試合、投入した3人はいずれも同じ選手で、投入された時間もほぼ一緒だった。優勝するための確率を、いかに上げるか。それを考えての一つひとつの采配だったと言える。決してベストコンディションとは言えないなか、相手に思い切ってアクセルを踏まさせない神経を使った一戦。指揮官が見せた、しっかり一歩ずつ石橋を叩いて渡って辿り着いたアジアの頂点だった。

文:サカノワ編集グループ

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