天皇杯制覇、浦和の阿部勇樹が語った涙の理由
リベロでフル出場し、天皇杯優勝に貢献した浦和の阿部勇樹。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
マウリシオ欠場、リベロでフル出場。「ここが日本なのかというぐらいの雰囲気を作ってくれた」とサポーターに感謝。
[天皇杯 決勝] 浦和 1-0 仙台/2018年12月9日/埼玉スタジアム2〇〇2
浦和レッズの阿部勇樹が天皇杯決勝のベガルタ仙台戦、リベロとしてフル出場し、1-0の無失点勝利に導いた。
オズワルド・オリヴェイラ監督によると、「6人のケガ人がいて、試合前日は眠れませんでした。そしてマウリシオ選手は間に合いませんでした」というチーム状況だった。リベロでの起用が急きょ決まった阿部だが、「(リードしたあと)仙台が点を取りに来たので安心できませんでしたけど、耐える時は耐えて、ゲーム中にそれぞれがバランスを崩してはいけないと声を掛け合えました」と、最後まで落ち着いて守備を統率した。
優勝が決まったあと、阿部はうっすらと涙を浮かべた。1昨年のルヴァンカップ、昨年のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)に続き3年連続の主要タイトル獲得。それぞれが特別であり、今回もまた格別の優勝となった。
「天皇杯は前回(2016年元日、G大阪に1-2で敗れる)決勝に行った時は、下から優勝チームが喜んでいるのを見ていたなと思って。あのときの悔しかった想いがあり、今回はリベンジできたんだと実感しました」
何より嬉しく支えになったのが、浦和サポーターからの熱い背中を押す声援だった。今回はよりそのサポーターと一つになって掴んだタイトルだと感じている。
「大勢のサポーターの方が準決勝と決勝の前日の練習場やこのスタジアムに足を運び、たくさんの横断幕を掲げてくれて、ここが日本なのかというぐらいの雰囲気を作ってくれました。サポーターの方たちと浦和レッズが一緒になったら、どんどん抑えきれないぐらい大きなチームになれる可能性がある。そういった意味でも、今日の結果は大事だったですし、お互いにとって。最高の1日になり、喜べて良かったと思います」
低迷した浦和を見て「何とかしたかった。力になりたいと思った」とイングランドのレスターから復帰した2012シーズンから7年目、チームを静かな熱い闘志で支え続け、価値あるタイトルをまた一つもたらした。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI