ラモス瑠偉が魂のスピーチ「日の丸を背負う本当の意味を分かってほしい」
日本代表2019年スケジュール発表会でスピーチしたビーチサッカー日本代表のラモス瑠偉監督。(C)SAKANOWA
日本代表スケジュール発表、ビーチサッカー代表監督として想いを訴える。
日本代表全カテゴリーの2019年のスケジュール発表が12月11日にJFAハウスで行われた。このなかでビーチサッカー日本代表のラモス瑠偉監督がスピーチを行い、「日の丸」への特別な想いを語った。2年前に脳梗塞で倒れたあと、テレビで見ていたシーンに違和感を感じたと言い、そして今年3月、ビーチ代表監督復帰の要請に快諾した。
来年3月にはタイでアジア予選、そして11月にパラグアイでワールドカップ(W杯)が予定されている。目標はアジア予選突破であり、W杯で世界を再び驚かせ、そしてベスト4に進むことだ。
ラモス監督がJFAハウスで行ったスピーチは次の通り。
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皆様こんにちは、ラモス瑠偉です。
(日本サッカー協会とのパートナーシップ40周年を迎えたキリングループについて)本当にすごいことですね。キリンさん、アディダスさんをはじめ、日本のサッカー界を支えてくれているスポンサーの皆様、本当に心から感謝しています。
今年3月、5年ぶりにビーチサッカーの監督に復帰しました。
何がいいか、何が悪いか。誰がいいか、誰が悪いか。
そんなことを言うつもりはありません。
何気なくテレビで試合を見ていたとき、もったいない試合をたくさんしていました。その選手たちを見ていると、日の丸の重みであり、日の丸を背負って戦う本当の意味を、分かっていないなと思いました。
監督が変わると、やり方は変わるでしょう。ただ、まず闘う集団(日本代表)があり、そのなかでこそ自分があるのです。
2005年、幸いなことに選手たちが自分について来て、信じてくれたことが上手くハマり、(ビーチサッカーW杯で日本史上最高位の)ベスト4になることができました。
しかしそのあと日本はベスト8に進んだのが2回。今回いろいろと話を聞かせてもらい、もう一度、監督をやらせていただくことになりました。
約1年でアジア予選を迎えるため、時間は限られています。しかし私を必要としてくれているのですから、逃げたりはしません。
特に日の丸を背負って戦うことを仕事にできるのであれば、本当に誇りです。どんな名誉なことでしょうか。プロではない選手がいても、日の丸を背負うということ。そこを自覚させてプレーさせています。
そして今、アジアはものすごくレベルが上がっています。すべてのカテゴリーの監督が、アジアで楽な試合などないと実感しているはずです。
4年間、現場を離れている間、さらにそのレベルは上がっているなと感じます。
それでも日本代表は勝たなければなりません。何よりラモスは絶対に負けたくありません。
来年3月、タイでビーチサッカーのアジア予選があります。そろそろ世代交代を進めたいと思い選抜チームを組んだり、合宿も行ったりしてきましたが、まだまだと言えるところもあり、結局ベテランの力が必要となっています。
2年前に倒れたあと、会長をはじめ皆さんから「大丈夫か」と言われてきました。僕は大丈夫です。
でも一人ですべて仕切るのは負担があって難しく、その中でとても素晴らしい牧野真二コーチが一緒になり、私の考えのすべてを上手く伝えてくれています。選手もそうですが、監督も育てていかないといけない。指導者の世代交代も必要な時期を迎えています。
私はもう一度、世界を驚かせたい。2年前、イランが決勝まで行ったことが、正直悔しかったです。それまで、ベスト4まで行ったのは日本だけでしたから。
再びW杯のベスト4を目指します。ただし難しいのは、アジア予選だとは分かっています。
改めて闘える集団を作っていきます。自信はあります。自分がピッチでプレーすれば問題ないんですけれどね(笑)。でも、少しずつ見えてきています。
アジアで優勝し、王者としてW杯に出たい。なんとかしてW杯に出て、もう一度、世界を驚かせます。
会長が厳しい決断を下して、日本代表がロシアW杯で、サッカーの火をともしてくれました。この火は、決して消してはいけません。
これからベストを尽くして命を懸けて、死んでもいいからW杯を目指します。でも人生は何が起こるか分かりませんから、次、違うことを言うかもしれません。そしたら許してください(笑)。
とにかく、私は精一杯やります。応援をお願いします。
ちょっと早いですが、お集まりいただいた皆様に素敵なクリスマスを。
そして来年、サッカー界と皆さん、ご家族にとって、素敵な1年になりますように、心から願っています。
今日は有難うございました。
取材・構成:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI