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競技規則では長友は100%ハンドと言えないが…日本代表救われた

日本代表の長友佑都。写真:新井賢一/(C)Kenichi ARAI

アジアカップ、オマーン戦前半終了間際のハンド疑惑。VARは準々決勝から採用。

[アジアカップ GS2節] 日本 1-0 オマーン/2019年1月13日/シェイク・ザイード・スタジアム

 日本代表が1-0のリードで迎えた前半終了間際、疑惑のシーンが巡ってくる。

 オマーンのラエド・サレフのシュートが遠藤航にブロックされる。このセカンドボールを、ペナルティエリア内に飛び込んだサラー・アルヤハヤエイが合わせて強烈なシュートを放った。このボールを長友佑都が体を投げ出して再びブロック。日本は辛うじてCKに逃れた。

 ただ、スローで振り返ると、長友は右腕はハンドをとられないように体につけているが、一方の左腕は投げ出された状態に。ボールはその左腕に当たって、弾かれていたのだ。

 ハンドではないか――。オマーンの選手たちが猛抗議をしたものの、判定は覆らなかった。

 競技規則上、長友のプレーはハンドの反則を取られていても「妥当」だった。ただ、今回のようにVARの採用されていない試合であれば「微妙」で、主審によって判断が分かれたと言える。

 ルールなどを制定する国際サッカー評議会(IFAB)の決定のもと、日本サッカー協会(JFA)は「競技規則の解釈と審判員のためのガイドライン」を発行している。その12条「ファウルと不正行為」の「ボールを手または腕で扱う」の項目では、次のように記されている。

「競技者が手や腕を用いて意図的にボールに触れる行為はボールを手で扱う反則である。主審は、この反則を見極めるとき、次のことを考慮しなければならない。

・ボールが手や腕の方向に動いているのではなく、手や腕がボールの方向に動く。

・相手競技者とボールの距離(予期していないボール)。

・手や腕が不必要な位置にある場合は、反則である。

・手に持った衣服やすね当てなどでボールに触れることは、反則とみなされる。

・サッカーシューズやすね当てなどを投げてボールにぶつけることは、反則とみなされる。

□懲戒の罰則

 競技者が次のように意図的にボールを手または腕で扱ったとき、反スポーツ的行為で警告されることになる。

・意図的かつ露骨にボールを手または腕で扱って、相手競技者がボールを受け取るのを阻止する。

・手または腕でボールを扱って得点しようとする。

 しかしながら、競技者が意図的にボールを手または腕で扱って決定的な得点や決定的な得点の機会を阻止した場合、退場を命じられる。

 この罰則は競技者がボールを手または腕で扱うことによるものではなく、得点となりそうな状況を阻止するということによるものである。

 これは公正を欠いた介入で、(サッカー競技にとって)受け入れられることのできないものである。

 プレーの再開直接フリーキックは、反則が起きた場所から行われるか(第13条─フリーキックの位置を参照)、ペナルティーキックとなる。(以下、省略)」

 つまり、長友のプレーは「手や腕がボールの方向に動く」という点ではファウルを取られていた。一方、「相手競技者とボールの距離(予期していないボール)」では、主審の判断が分かれたと言える。

 それでも昨年のロシア・ワールドカップ(W杯)決勝フランス対クロアチア戦での34分にフランスにPKを与えたハンドの判定など、投げ出された手にシュートが当たれば、ファウルと判定されるケースが増えている。つまり、意図的かどうかは人(主審)が判断するのは難しく、「手や腕が不必要な位置にある場合」は、容赦なくファウルを取る傾向にある。

 そういった状況を踏まえると、もしもVARが採用されていれば、8、9割の可能性でオマーンにPKが与えられていただろう(さらに長友にイエローカードも出ていたか)。むしろ、VARが採用されていれば……どのように判定されていても、両チームともによりスッキリした気持ちでその後もプレーできていたかもしれない。

文:サカノワ編集グループ

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