×

2019年も続く「イニエスタ+トーレス」効果。昨季は観客「50%」増

イニエスタ(左)、トーレス(右)効果から、新たな人の流れが生まれるか。(C)SAKANOWA

新たな人の流れが生まれるか。昨季ツイていなかった横浜FMにJリーグが配慮!?

 Jリーグが各事業ごとの2018シーズンを総括した「J.LEAGUE PUB REPORT 2018」(Jリーグ公式HPで無料で公開)では、リーグ全体の観客数に関するレポートがまとめられている。

 2018シーズンのJ1リーグはロシア・ワールドカップ(W杯)開催などのため、平日の試合開催が増加した。その影響もあり17シーズンと比べて、W杯中断期間までの観客数は大幅に減った。しかし、再開後は急激な伸びを見せて、最終的にはJ1全体では583万3538人で、前年比1%増加した。

 Jリーグは最大の要因として、アンドレス・イニエスタとフェルナンド・トーレスが加入した、ヴィッセル神戸、サガン鳥栖のカードの観客数増加を挙げ、次のようなデータを紹介している。

 昨季より入場者数が増加したカード37試合のうち、40.5%にあたる15試合が神戸と鳥栖だったという。入場者数の増加率は実に49%だった。

 ホームゲームの平均観客数では、イニエスタ加入後の神戸が、加入前より7582人増加の2万4752人に。トーレス加入後の鳥栖が、加入前より4813人増加の1万7265人。神戸は44.2%、鳥栖は38.7%増えた。

 そして、アウェーでの集客率は、標準差値「50」で見た場合、神戸は「65.1」、鳥栖は「56.7」を記録。これまでは2018年の加入前は神戸「46.6」、鳥栖「48.2」など、2チームは2016年から標準値を上回ることがなかった。それだけに、多くのクラブにとって、あまり観客を呼べなかったカードが、一気に注目カードにまで変化したと言える。

 実際、このカードが後半戦に組まれたかどうかで、観客動員数は大幅に変わっている。

 昨季、ツイていなかったのが横浜F・マリノスだった。鳥栖、神戸戦ともにW杯中断前の前半戦で実施。神戸とはルヴァンカップのプレーオフでも対戦していたが、イニエスタ加入前の6月だった。

 もしもイニエスタ、トーレス加入後に日産スタジアムでのホームゲームが組まれていれば、超満員にできるチャンスだった。実際、シーズン終盤に低迷した横浜FMは平均観客数が、17年の2万4766人から2万1,788へと減少している。

 ただ、Jリーグはそのあたりを配慮したのか、横浜FMは今季、鳥栖戦が3月、神戸戦が5月にホームで組まれている。しかも鳥栖戦は昨季のニッパツ開催から日産ス開催に会場が変わっている。

 2019シーズンも、イニエスタ(ビジャ&ポドルスキ)、トーレス(&クエンカ)の加入効果は続く。それが一過性なのか。それとも、何か新たなる流れを生み出すのか。例えば、神戸にダビド・ビジャが加わったように、外国人選手枠のルール変更も重なって、過去になかった新たな人の流れが生まれていくのか。そのあたりは、今は誰も分からないが、非常に楽しみである。

 一方、神戸、鳥栖戦を開催する際、アウェーの観客席の区分けを増やすべきかなど、各クラブはこれまでになかった課題に直面していると聞く。逆にこのチャンスをどう生かすのか――J1のそれぞれのクラブのアイデアやチャレンジが試されているとも言える。

文:サカノワ編集グループ