増嶋竜也が語る千葉の変化。今年はロングボールも武器に
ジェフ千葉の増嶋竜也(5番)(C)SAKANOWA
アラン・ピニェイロ、クレーベの加入で、「ハイライン」戦術がより有効に。
[J2 1節] 愛媛 – 千葉/2019年2月24日/ニンスタ
J2開幕の1週間前、増嶋竜也がジェフユナイテッド市原・千葉に加入して二度目の「ちばぎんカップ」を、PK戦の末に制した。新加入だった昨年は連係もままならず、ある意味、サポーターへの挨拶代わりとも言える”デビュー戦”となったが、今年は試合の臨む気持ちから違った。
「俺たちのほうが強いぞ、というところを見せたかった。日立台でできる喜びもありましたが(元柏でもある)、昨年以上に気合いが入っていました。絶対に球際だけは負けたくなかった。(柏の)前線の選手の心が挫けるまでいってやろうと思っていました」
左から下平匠、エベルト、増嶋、ゲリアという4バック。先発メンバーの中で最年長33歳の増嶋はDFリーダーと言える役割をこなし、状況に応じてエベルトやゲリアにも指示を送り、確認を取り合い、試合のなかで修正を図っていった。
「普段も通訳を通して話しますし、みんなこちらの話に耳を傾けてくれて、問題なくできていると思っています。(DFリーダーとしての自覚?)DFリーダーかどうかは分からないけれど……率先して声は出しています」
柏相手の2-2の引き分け。何より千葉にとっては十分手応えを得られた内容だった。増嶋は「収穫」と「課題」を次のように挙げていた。
「セットした状態(それぞれのポジションについた状態)で崩されることはほとんどありませんでした。その点では去年以上に安定しているかなと感じました。ただ、攻めている時のミス絡みのカウンターは、もうちょっと注意しなければいけない」
「やろうとしていることはちょっとずつできています。失点したけれど、ゲームの流れとしては悪くなかったと思います」
前線に懐が深くシュートのセンスもあるアラン・ピニェイロ、187センチの高さと強さを備えたクレーベが加わった。柏戦で何より収穫に感じたのが、二人のボールキープ力だった。
高い位置で彼らがしっかりボールを収められることで、フアン・エスナイデル監督の標榜するハイラインの戦術がより有効になっていると感じた。
「走れて(フィジカル的にも)強い選手が前に入り、選択肢の一つとしてロングボールが増えました。自分としてもロングフィードには自信があります。思い切り蹴れるし、今日もさっそくそれが上手くハマったと感じました」
増嶋はストロングポイントであるフィードが、今季より生きると感じていた。加えて「柔軟性」もポイントに挙げる。
「監督が選手に任せてくれているところもあり、責任を持ってやらないといけない部分はあります。それと試合中に一人ひとりがコミュニケーションを取りながらやり方を変えていく柔軟性も昨シーズンより出てきています」
千葉の開幕は2月24日、アウェーでの愛媛FC戦。ホーム初陣は3月3日のアルビレックス新潟戦だ。ジェフの5番がすっかり板についた増嶋は充実の表情を浮かべ、前を見据えた。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI