GKトンネル失点で、前代未聞VAR判定。長友のガラタサライ辛うじてカップ戦4強進出
長友佑都はターンオーバーで欠場。ガラタサライが辛うじてトルコカップ4強に進出した。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
ボールが外に出たと旗の上がった後、GKがトンネルで失点。しかしボールは出ていなかった…。
[トルコカップ 準々決勝第2戦] ハタイ 4-2 ガラタサライ/2019年2月27日/アンタキヤ
長友佑都の所属するガラタサライSKが、2部リーグのハタイシュポルとのトルコカップ準決勝第2戦、2-4で敗れた。しかし2試合トータル4-4、アウェーゴールの差で、ガラタサライが辛うじて準決勝に駒を進めた。なおターンオーバーで長友はベンチ外だった。
この試合の84分、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)を巡り前代未聞の”オウンゴール”が決まった。
状況を整理しよう。
試合は3-2とリードするハタイが、逆転にはあと2点が必要なため攻勢をかけていた。するとハタイが左サイドを突破し、ゴールラインぎりぎりからクロスを上げる。副審はボールが外に出た(アウト・オブ・プレー)と判断して旗を上げる。ガラタサライの選手たちも足を止める。
すると、そのなんでもない転がってきたクロスのボールを、ガラタサライのGKイスマイル・チペが足に当て、さらに股を抜けて、そのままゴールに入った。
GKチペもボールが外に出たとセルフジャッジしていた様子だ。それでも当初は主審もそのままオフサイドとして、間接FKを指示した。
しかし――GKがゴールキックを蹴ろうとした時、主審が試合を止める。左サイドからのクロスの際、ボールが外に出ていなかった(インプレーだった)のではないかと、VARの審議に入った。チペのトンネルによる失点で、VARの対象である「得点機」になったためだ。
その後、試合は約4分間にわたり中断された。結局、カメラの角度によっては完全にボールが外には出ていないようにも、出ているようにも見えたが……主審は「インプレー」と判定、GKチペのオウンゴールで、ハタイのゴールを認めたのだ。
つまり、GKチペがトンネルしていなければ「得点機」になっておらず、そもそもVARの対象にはならなかった。その際はアウト・オブ・プレーで「ゴールキック」になっていた。
ところがチペの”トンネル+失点”によって「得点機」になったためVARの対象となり、「得点」になった。極めて異例のケースと言える。
それでもアウェーで2ゴールを決めたガラタサライが辛うじて”逃げ切り”、この試合を2-4で落としたものの、トータル4-4、アウェーゴール差でベスト4進出を果たした。長友もタイトル獲得へ、さらに一歩前進した。
国内リーグ2位のガラタサライは3月3日、アウェーで17位のBBエルズルムスポルと対戦する。また、香川真司の所属する3位のベジクタシュは3月2日、10位カイゼリスポルと対戦する。
文:サカノワ編集グループ