日本代表の守田英正がスランプ気味?しかし打開策は明快だ!
日本代表に選ばれた川崎の守田英正。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
川崎では連戦を考慮した2試合連続で途中交代に。「シンプルに僕が良くないから」
キリンチャレンジカップの3月シリーズ(22日/コロンビア戦@日産、26日/ボリビア戦@ノエスタ)に臨む日本代表に川崎フロンターレから唯一、守田英正が選ばれた。
ただ、2年目を迎えた23歳の守備のスペシャリストは最近2試合連続で途中交代を告げられている。ボランチで先発した10日のJ1・3節横浜F・マリノス戦(△2-2)は80分に中村憲剛と、右サイドバックで臨んだ13日のACLシドニーFC戦(〇1-0)は61分に鈴木雄斗と、いずれも戦況や連戦の影響も考慮されてベンチに退いた。
それぞれの試合で守田は1対1に持ち込んだ時にボールを”狩って”奪う力を見せつけていた。ただ、確かにシドニー戦は久々の右SB起用とあってか、ボール奪取後に起点になるところで貢献できず、本人も首をひねっていた。
「(シドニー戦の後)守備面では自分のラインを越えた時の戻りとか、しっかりリトリートすることを気を付けました。攻撃面は前半、(守田のいた)右で停滞してしまいました。こっちにボールが来ることでリズムを作れるかと思いましたが、なかなかタテにボールを入れられず、横や下げるパスが多くなってしまいました。左サイドは活発に最後までシュートへ行き、右サイドではなかなか作れなかったので、そこはもっと良くしないといけないですね」
シドニーFC戦は無失点に抑えて勝点3を掴み、「ACLは1本のチャンスをモノにしてくる選手ばかり。守備から入ることを意識しましたし、何回かボールを奪えましたし、あまり悲観的には捉えていないです」。一方、途中交代が続いたことは、守備の安定感が身上である守田だけに「僕が良くないからだと思います」と、パフォーマンス不足だと受け止めていた。
「シンプルに最近良くないと思いますし、自分の特長や自分の力がチームに良い影響をもたらせているとは言えない……。だから、そういう判断を下されただけだと思います。そこは自分と向き合います。周りのせいではないですし、あくまでも自分の力不足。自分自身への期待値もあります。昨年だったらあり得なかったボールロストとか、なぜそんなミスをするんだろうという場面も増えていますから」
では、守田はこうした状況をどのように乗り越えてきたのか。どのように打開しようと考えているのか――。そう聞くと、彼は即答した。
「練習するしかないです。練習が自分の自信につながりますし、練習でできないことは試合では出せません。もう、練習あるのみです」
答えは明快だった。
また、今回の右サイドバック起用について、川崎の鬼木達監督は「これまでも何度かそのポジションでプレーし、守備からしっかり入りたい状況で、再び起用したいと考えていた」と起用の意図を説明していた。サイドにドリブル突破を武器とする強力なアタッカーが多く配置される。それがACLでもある。そのグループステージホーム初戦で”抜擢”された形だ。
守田も守備のスペシャリストとして、その起用をむしろ歓迎していた。
「自分の選手としての形を作ることは大事だと思います。ただそれをやってしまうと、選手としての伸びしろがなくなってしまうし、僕はもっと何でもできる、それが器用貧乏になってはいけないですけれど、いろんなポジションができることは良いし、そういう選手だということも、一つの特長になると思っています。そこに関しては、やれる、と(鬼木監督から)思ってもらっていること自体が、とても有難く感じています」
17日は再びホームの等々力陸上競技場でガンバ大阪と対戦する。そしてすぐ日本代表の合宿に合流する。
森保一監督をはじめ日本代表のスタッフは、守田のコンディションに配慮したい。ケガをさせることだけは絶対に避けなければならない。
もちろん日本代表の活動の中で一つスイッチが入ることで、突然ガラッと、守田が自信を取り戻すこともあり得る。コパ・アメリカに向けてチーム作りが一部リセットされるこのタイミングは、守田にとっても、キッカケを掴むチャンスでもある。コロンビア、ボリビアという個の突出した相手に何かを掴めれば、よりタフに強力な存在になれる。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI