驚愕左足FKの浦和DF山中亮輔。憧れはロベカルではなく…
浦和の山中亮輔。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
次節はホームで古巣・横浜F・マリノス戦。「レッズサポーターの後押しに、いいプレーで応えたい」
[J1 5節] 浦和 1-1 FC東京/2019年3月30日/埼玉スタジアム2〇〇2
浦和レッズのDF山中亮輔がFC東京戦の87分、左足から驚愕の直接フリーキック(FK)を放ったが、ボールはクロスバーを直撃してゴールならず。ゴールマウスが歪むように揺れた強烈な一撃に、3万9000人で埋まったスタジアムがどよめいた。
「アウトに少しかけて落とすイメージでした。その感じでイメージ通りに行きましたが、もう少し落ち切りませんでした」
ただそれでも諦めなかった。さらにホームチームが攻勢を強めるなかで迎えた90+4分、敵陣の左サイドでボールを受けると「選択を変えられるのが特長。判断するギリギリのところまで粘った」と相手を引き寄せ、エアポケットになったスペースへグラウンダーのクロスを放った。そこに入り込んだ森脇良太の劇的同点弾をアシストしてみせたのだ。
「決めてくれた森脇くんに感謝しています。他の選手にはない違いを作っていき、怖い選手になっていければと思います」
そのように山中は森脇への感謝を惜しまなかった。次節は4月5日、ホームで横浜F・マリノスと対戦する。
「意識しないのは無理だと思いますが、もちろん全ての試合で、マリノス戦どうこうというより、結果を出せたことが次につながっていくと思います。次に向けて気持ちも入れて、(試合に出られれば)レッズのサポーターが後押しをしてくれると思うので、しっかりいいプレーを見せたいと思います」
彼はそのように古巣との一戦を楽しみにしていた。
山中は自身の左足のキックについて、「蹴る球種は豊富だと思っていますし、そこをストロングとして押し出していきたい。左足は誰にも負けていない、負けてはいけないところですから」と語る。今回のクロスのようなテクニカルなキックも、強烈なFKも「どちらも得意です」と蹴り分けられるのも特長だ。
今回の一撃によって、「浦和のロベカル」という異名がつきそうである。ただ、25歳の山中にとって、元ブラジル代表のロベルト・カルロスはちょっと古い例えのようだ。
「世界的な選手では、マルセロ(レアル・マドリー、現ブラジル代表)が好きです。彼のように個で打開できる選手が、目標としているところです。個の力で試合を決められるように頑張っていきたいです」
浦和のマルセロであり、浦和のロベカルであり。つまりは「浦和の山中亮輔」として、これから一歩ずつ、アジア、そして世界へ向かって挑む。次戦から浦和はACLとの連戦に突入する。果たして山中の先発はあるのか。戦術の浸透はもちろん重要で、同時にオズワルド・オリヴェイラ監督の采配(マネジメント)も、ここからチームが勢いに乗るためにはポイントとなる。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI