内田篤人と昌子源が認める逸材。小田逸稀が鹿島で定位置を奪うためには?
FC東京の永井謙佑(左)と競り合う鹿島の小田逸稀(右)。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
ACL慶南戦で活躍、FC東京戦は先発。しかし前半で交代に。
[J1 7節] FC東京 3-1 鹿島/2019年4月14日/味の素スタジアム
鹿島アントラーズのDF小田逸稀が4月14日のFC東京戦、右サイドバックで先発し、今季リーグ初出場を果たした。飛躍が期待されるプロ3年目。しかし二重、三重のアタックに翻弄されて、チームが3失点を喫して反撃を試みるため、前半を終えた時点で交代を余儀なくされた。
直前に行われた4月13日のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の慶南FC戦では途中出場から、90+3分、セルジーニョの3-2とする逆転ゴールをアシスト。その勢いも買われて、無敗のFC東京との一戦にもスタメンで抜擢された。
左右の揺さぶりに鹿島の全体がついていけず、そのなかで小田もなかなか狙ったようなオーバーラップを繰り出せず苦戦した。決してパフォーマンスが悪かったわけではないが……3点を追う展開となったため、ハーフタイムで交代に。三竿健斗がボランチに入り、永木亮太が右サイドバックに回った。
「(決して守備が)ハマっていないことはなかったです。3失点とも、同じような形から決められてしまったので、(課題は)そこです」
小田はそのように悔やんだ。素早いカウンターに鹿島の選手がそれぞれ一歩ずつついていけず、あるいは前へ一つ早いテンポで急ぎすぎてしまう。その展開のなか、スピードのあるディエゴ・オリヴェイラ&永井謙佑の2トップに攻略された。基本的にはその二人をセンターバックコンビと小田の3人で見る形にしていたという。ただ空いたサイドを相手の左SB小川諒也にも使われた。
何より小田はプレーが細切れになってしまったことを嘆いた。
「もっと攻撃をスムーズに。ポジショニングやパスを出すタイミングだったり、もっとスムーズにできなければと思いました」
右サイドバックの中心選手である内田篤人、左サイドバックの山本脩斗が負傷離脱。大ケガから復帰した伊東幸敏もまだ調整中だ。
東福岡高校出身の20歳のサイドバックは1年目に天皇杯2試合に出場、そして昨季はリーグデビューを果たし計6試合1ゴールを記録した。安西幸輝のように両サイドを高いレベルでプレーできるのが強みでもあり、小田は攻守の1対1の局面でより馬力を発揮できる。
昨年Jデビューを果たした小田について、内田は「本当に対人が強い。練習からまったくサボらず、それは俺が隣で一緒にやってきたから一番分かっている」と評価。さらに昌子源(現トゥールーズ)も「逸稀に今日(小田のデビュー戦となった名古屋戦)はだいぶ助けられました。改めていい選手だと思いました」と絶賛していた。
鋼のようなフィジカルを生かし、俊敏性と豊富な運動量を持ち合わせ、しぶとく守り切り替えの起点となれるところが武器だ。小田自身もさらに「(サイドバックを)誰にするか。そこでまず自分の名前が出る。そんなプレーをしていきたいです」と意欲を示す。
内田の代わりではなく、内田からポジションを奪う存在に――。そのためには、小田にしかない持ち味を、チームのために最大限発揮していきたい。
文:サカノワ編集グループ